研究課題
基盤研究(C)
近年、ニュートリノに質量があることが確定し、質量の大きいニュートリノが遠赤外領域の超低エネルギー光子(ニュートリノ崩壊光子)を放出することによって質量の小さいニュートリノに崩壊することが理論的に予言されており、そのような光子を探索するための検出器開発が推進されている。本研究では、福井大学が保有する遠赤外分子レーザー装置を用いて、そのような検出器を較正するための超低エネルギー光子パルス照射システムを開発した。更に、この照射システムを実際に用いて、光子パルスを検出器まで伝送するための導波管の開発や、ニュートリノ崩壊光子分光用回折格子の開発、検出器を容れる真空容器の窓材の開発なども行った。
本研究で開発した超低エネルギー光子パルス照射システムは、ニュートリノ崩壊光子を検出し、そのエネルギーを測定するための検出器の較正や性能評価を行う上で必要不可欠なシステムである。このシステムによって較正された検出器でニュートリノ崩壊光子を捉え、そのエネルギーを測定することができれば、まだ分かっていないニュートリノの質量を決定することができるようになり、単にニュートリノだけでなく、素粒子全体、さらにはこの宇宙の成り立ちに対する我々の理解をも飛躍的に深めることができる。本研究で開発した超低エネルギー光子パルス照射システムはその一助となり得る装置である。
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