研究課題
基盤研究(C)
希土類低次元物質RNiC2は低温で(1/2 0.5+δ 0)というCDW1を形成する。このCDW1は磁場印加により波数変化や変調の消失が起こる。本研究では 希土類元素Rを重希土類元素に変えたものについても単結晶を作成し、これらのRNiC2ではCDW1よりも高い温度で(1/2 1/2 1/2)というCDW2が形成されることを見出した。このCDW2の構造解析と電子構造解析をすることによって、CDW2の変調波数はフェルミ面のネスティング波数に一致することを見出した。このCDW1とCDW2について希土類元素Rを変化させながら低温構造相図を提示した。
磁場に反応して磁気抵抗が大きく変化する物質はGMRやCMRと呼ばれ、ノーベル物理学賞の受賞理由にもなり、磁気記憶媒体の分野で産業的にも貢献してきた。このような重要性にも関わらず、クロム鉄積層薄膜やマンガン酸化物など、物質系が限定されてきたため最近の研究の展開はあまり進んでいない。本物質は低温でCDW1の消失に伴い約10倍の巨大磁気抵抗を示し、新たな巨大磁気抵抗物質となり得る。我々はこの物質にこれまで知られているCDW1の他にCDW2という新たな抵抗増加要因を見出し、その発生原因について明らかにした。
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