研究課題
基盤研究(C)
U(1)量子スピン液体を実現する候補であるパイロクロア量子スピンアイス系に特有な新現象を理論的に探究し、以下の世界に先駆けた成果を上げた。[111]磁場下での広域相図を解明し、共有結合性固体相、磁化モノポールの超固体相を新たに発見した。U(1)量子スピン液体相をHiggs強磁性相で挟んだ接合系において、接合面に平行な印加電場が、モノポールのトンネル超流動流を誘起し、接合面に垂直に磁化を変化させることを示した。スピネル型イリジウム酸化物Ir2O4を室温量子スピンアイスの候補として提唱した。Yb2Ti2O7の強磁性相での第一磁気励起を、仮想光子がエネルギーギャップを持った励起として説明した。
これまで量子スピン液体は極低温に到達しなければ議論できず、純粋に科学的興味からしか研究されてこなかった。特に、実験的にはU(1)量子スピン液体の直接的な証拠を得る方法が認識されていなかった。本研究の成果は,量子スピンアイスの接合系を用いることで、この系でU(1)量子スピン液体を検出することが可能であることを示唆している点で学術的な意義が高い。さらに、高温量子スピンアイスに向けた物質開発を先駆け、モノポールのトンネル超流動流を利用したデバイスについて日米で特許を申請しており、革新的機能性磁性体開発の第一歩となる潜在性をもつ点で、社会的にも意義が高いと思われる。
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