研究課題/領域番号 |
16K05445
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性Ⅱ
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 鉄平 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (10376600)
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連携研究者 |
宮坂 茂樹 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (70345106)
前野 悦輝 京都大学, 理学研究科, 教授 (80181600)
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研究協力者 |
大槻 太毅
柴田 大輔
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2018年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2017年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2016年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 強相関電子系 / 光電子分光 / 金属絶縁体転移 / 軌道秩序 / 物性実験 |
研究成果の概要 |
強相関電子系であるt2g電子を持つバナジウム系およびルテニウム系遷移金属酸化物において軌道秩序を伴うモット転移近傍の電子状態を明らかにするため光電子分光実験を行った。バナジウム酸化物Na1-xSrxVO3においてモット転移近傍で擬ギャップを持つことを明らかにした。現象論的な自己エネルギーを用いて擬ギャップ状態のスペクトル形状を再現することに成功した。電場印加によって金属に転移するルテニウム酸化物Ca2RuO4において電場印加下の光電子分光を行った。その結果、電流の増加と共にモットギャップが減少した。観測されたギャップの値は電流電圧特性から予想されるギャップ値と定量的に一致することを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
モット転移近傍の相関の強い電子状態は多体現象のため理解が難しく、電子状態を記述する有効モデルの構築は物性物理の重要な課題である。本研究ではバナジウム酸化物のモット転移近傍で、高温超伝導体と同様に多体現象の表出である擬ギャップが存在することを初めて示した。またルテニウム酸化物においては、電流による金属化がモットギャップの減少であることを直接的に示すことに成功した。これらの結果は、多体電子系を記述する基礎となり、また強相関電子系で電流を流したときの非平衡系の物理に影響を与えると考えられる。これらの強相関電子の挙動を理解する研究成果は、強相関の特性を考慮した素子の開発において有用であるといえる。
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