研究課題/領域番号 |
16K05530
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体地球惑星物理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
八木 健彦 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (20126189)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2017年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2017年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2016年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 超高圧発生技術 / 2段式ダイヤモンドアンビル技術 / 超高圧 / 実験技術 / ダイヤモンドアンビル / 放射光実験 / 2段式アンビル / 超高圧実験技術 |
研究実績の概要 |
従来の静的超高圧発生実験の限界を超す500GPa以上の圧力発生技術を確立するため、初年度に引き続き2段式ダイヤモンドアンビル実験技術を用いてマイクロアンビルの加工方法やデザイン、種々のパラメータを変えながら実験を繰り返した。マイクロアンビルの加工は愛媛大GRCにおいて行い、実験は西播磨のSPring-8において平成29年度中にマシンタイムを3回確保して行った。いずれの実験でも100 GPa以上の安定した高圧発生が確認されたが、500GPaに達する前にすべてのアンビルが破壊してしまい、まだ当初の目的を達するには至っていない。マイクロアンビルはその形状だけでなく、素材として用いるナノ多結晶ダイヤモンドの作製方法によっても強度が大きく変化することが次第に明らかになり、ナノ多結晶ダイヤの作成法に関する検討も重ねている。 前年度の実験では、キュレットサイズに比してX線で観察する領域がかなり大きく、試料内に生じている大きな圧力勾配のため、超高圧部の試料のX線回折パターンを明瞭に観測するのは難しかった。そこで、観察に用いるX線ビームをより細くする光学系の改良を行うと共に、超高圧発生を行うキュレットのサイズを3ミクロンから5ミクロンに拡大することにより、ずっと明瞭な回折線を得ることが可能になった。それを用いて、2種類の試料を同時に加圧して圧力スケールそのものの問題を検討する実験や、試料室内の詳細な圧力分布の観察なども行った。 それらの知見を論文としてまとめ、High Pressure Research 誌に発表した。またそれと共に、フランスで開かれたHign Pressure Mineral Physics Seminar において現時点までにおける研究成果を発表し、海外の競合する研究グループとの意見交換や情報交換などを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初からきわめて困難を伴う実験技術の開発であることは承知をしており、まだ当初の目的とした圧力領域には達していないものの、他グループが行っている実験方法に較べ格段に安定した高圧発生を行える技術は確立された。さらなる超高圧の発生には、マイクロアンビルの素材となる多結晶ダイヤ焼結体の作成方法とその強度の関係や、マイクロアンビルを力学的に支持する機構に関連したさまざまな問題に対する知見が不可欠であるが、それらの情報は確実に蓄積されてきており、これらの知見を反映させた改良を繰り返すことにより、さらなる超高圧発生の可能性が期待されている。
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今後の研究の推進方策 |
29年度までに得られた知見を総合して、まずマイクロアンビルの素材となる、粒度がnmサイズで充分良く焼結された多結晶ダイヤモンドの合成を行う。またアンビルの破壊を防止するためにコーン状の凹みでマイクロアンビルをサポートする手法を立案し、それを具体化するための方策を検討したので、そのアイディアに基づきマイクロアンビルとその受け台を製作する。それらを用いてSPring-8で超高圧発生実験を繰り返し、500GPa越えの圧力発生をめざす。
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