研究課題
基盤研究(C)
核融合プラズマの分光診断において、これまであまり積極的なサーベイがなされることがなかった近赤外領域における分光診断に着目し、(i)可視および近赤外域の分光器をそれぞれ用いた感度較正法の実施、(ii)感度較正における2次回折光の影響評価、(iii)水素原子パッシェン系列の観測、(iv)近赤外のヘリウム原子輝線を利用した衝突輻射モデルの検証、(v)近赤外域の連続スペクトルの観測を行った。本システムをヘリオトロンJに適用し、プラズマの放電モニタ映像(可視カメラ)において見られる明るい閃光が、高エネルギー電子によるホットスポット形成による連続スペクトルであることを特定した。
従来、可視分光や真空紫外分光が用いられてきた核融合プラズマの分光診断において、近赤外領域の適用可能性に着目し、その有用性を示した。近赤外領域には可視光の2次回折光が重畳される懸念があるため、定量的な検出には注意を要する。一方、近年、この領域の小型分光器や検出器のラインナップが充実してきているため、定量評価・較正の手法を確立することは、意義深い。ホットスポットはプラズマ対向壁の溶損や不純物発生の原因となり得るため、その観測・制御が不可欠であり、多くの金属の融点を含む1400-3200Kの温度に感受性が高い近赤外分光は、今後イメージ計測や高速化へと発展するニーズが高まってくると期待される。
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