研究課題/領域番号 |
16K05659
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
宮田 竜彦 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 講師 (70390648)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2017年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2016年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 溶媒和自由エネルギー / MD hybrid closure / 3D-OZ理論 / RISM理論 / 平均力ポテンシャル / LJポテンシャル / クーロンポテンシャル / 2D-OZ理論 / 3D-RISM理論 / 溶媒-溶媒相関関数 / MOZ理論 / 熱力学量 / 動径分布関数 / OZ理論 / LJ流体 / 統計力学 / 化学物理 / 熱力学 / 液体論 / 分子シミュレーション |
研究実績の概要 |
溶媒和自由エネルギーを正確に求めるための方法論構築の一環として、溶媒-溶媒間相関関数を正確に求める方法を模索している。水のモデルについて、hybrid closureの適用性を検討した。具体的には、相関関数の短距離部分に分子動力学(MD)法のデータを用い、遠距離部分をRISM/KHまたはRISM/KGK理論で記述するという方法である(MD-KHまたはMD-KGK hybrid closure)。常温常圧の条件では、MD法のデータとRISM理論をうまく接続することができた。また、水よりも少し複雑な溶媒として、メタノールについてもhybrid closureの適用性を検討したが、この場合はMD法のデータとRISM理論の接続がうまくいかず、動径分布関数に不連続な点が出た。この接続性の相違の理由は分かっておらず、この点は今後の課題である。また、本研究で取り組んでいる熱力学量の正確性は、OZ理論でよく知られたthermodynamic inconsistencyの問題と本質的に同じである。このthermodynamic inconsistencyについて掘り下げて考えてみる一環として、平均力ポテンシャル(PMF)が各closure近似でどのように異なるのかについても調べてみた。HNC closure、KH closure、KGK closureを仮定し、Lennard-Jones溶液を対象としてPMFを2つのルートで計算し、比較した。ひとつ目のルートは無限希釈の溶質-溶質間相関関数から求まるPMFであり、ふたつ目のルートはRISM理論や3D-OZ理論を使って二原子分子の溶媒和自由エネルギーから求まるPMFである。後者では、二原子分子の共有結合の長さに対して溶媒和自由エネルギーがどのように変化するか、というデータを利用してPMFを求める。PMFはルートに依存して異なる結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水を溶媒として、溶媒-溶媒相関関数を正確に求めるためのhybrid closureの適用性を検討し、MD法とRISM理論とがうまく接続できることを確認した。これにより、水和の計算精度の向上が期待される。Thermodynamic inconsistencyの問題に関連して平均力ポテンシャル(PMF)を取り上げ、近似計算ではPMFが計算ルートによって異なることを確認した。RISM理論と3D-OZ理論でも有意な差を確認した。クーロンポテンシャルを含んだ系ではIPY2 closure近似についても検討した。IPY2は価数の小さな電解質に関して、PMFをあまり正確に記述できないことが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、クーロンポテンシャルを含む系に対するOZ理論の近似法を検討する。IPY2 closureはそのためのひとつの近似法であるが、本研究で提案してきたSEB補正法についてもブリッジ関数の精度を定量的に調べ、よりよい近似法について検討する。この目的では、これまでに検討してきたhybrid closureを利用して正確なブリッジ関数の抽出を行い、いかにこれに近いブリッジ関数を提案するかが重要となる。
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