研究課題
基盤研究(C)
本研究では、tren (tris(2-aminoethyl)amine)を基本骨格とし、バナジウム(III)イオンまたはクロム(III)イオンを中心金属とした窒素錯体の合成に成功した。また、N-N結合の切断によるニトリド錯体の合成には至らなかったものの、錯体の酸化還元反応中に起こる不可逆分解が起こりにくいほどアンモニア収率が良いことを明らかにし、アンモニアの収率を約350%まで向上させることに成功した。さらに、クロム錯体では各種還元剤と反応させると、金属と窒素配位子との結合が優先的に切断されることも明らかにした。
本研究において、高原子価窒素錯体の合成に成功したことは、窒素錯体の前駆体に高いポテンシャルを与えなくても遷移金属錯体上で窒素を活性化させることが可能であることを示している。このことは人工窒素固定法では必ずしも高温高圧を必要としないことを示しており、学術的意義は大変高い。また、窒素錯体を還元剤と反応させることによって、窒素配位子と中心金属の結合を優先的に切断できることは、窒素の選択的回収や除去に利用することができ、社会的意義も大きい。
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