研究課題
基盤研究(C)
恒常的に腹側被蓋野(VTA)ドパミン神経腹の発火が高い動物では社会性行動の低下が認められた。そこで、VTAドパミン神経において持続性発火が社会性イベント関連性の相動性発火に干渉して社会性行動に影響を与えるのかという仮説の検証を行った。興奮性DREADD (hM3Dq)をラットのVTAドパミン神経に選択的に発現させた後、Clozapine N-oxide(CNO)の慢性投与によってVTAドパミン神経の持続性発火及び前頭皮質(mPFC)での定常状態のドパミン放出を恒常的に亢進させた。この条件でstranger ratを対峙させた時、hM3Dq発現群では社会性行動の低下が認められた。また、hM3Dq群ではstratnger rat対峙で惹起される相動性発火に由来するドパミン放出(定常状態からの増加分)も減少していた。次に精神疾患モデルratのVTAドパミン神経に抑制性のDREADD (hM4Di)を選択的に発現させた。もともと精神疾患ラットはVTA ドパミン神経の持続性発火およびmPFCでの定常状態のドパミン放出が亢進していた。この疾患モデルラットにCNOの慢性投与を行うと、hM4Di発現群ではVTA ドパミン神経の持続性発火やmPFCでのドパミン定常放出が正常化された。また、hM4Diを発現によってstranger ratを対峙させた時の社会性行動も正常化した。さらに、hM4Diによって相動性発火由来のドパミン放出(定常状態からの増加分)も正常化していた。以上の結果、次のことが解った。(1)VTAドパミン神経の持続性発火の変化によってターミナルでのドパミンの定常放出が影響を受ける。(2) 定常状態のドパミンの放出が変化することにより、相動性発火に伴うドパミン放出のダイナミックレンジが干渉を受ける。(3)このダイナミックレンジは社会性行動に影響を与えると考えられる。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Neuroscience Letters
巻: 654 ページ: 99-106
10.1016/j.neulet.2017.06.005