研究課題
基盤研究(C)
本研究では、胃がんの悪性化機構を個体レベルで明らかにすることを目的とし、新規マウスモデルの開発と解析を推進した。胃炎を伴う胃粘膜上皮特異的に発現するClaudin2と、正常胃粘膜上皮で持続的に発現するClaudin18遺伝子のプロモーター領域でCreERを発現するマウスの樹立に成功した。これらのマウスを、胃がん発症マウスと胃がん悪性化への関与が指摘されるTgfbr2およびTrp53遺伝子変異マウスとの交配を行ない、胃病変の病理解析の結果、TGF-betaシグナル遮断や変異型p53発現はどちらも悪性化を誘導せず、胃がん悪性化にはさらに遺伝子変異の蓄積が必要と考えられた。
胃がんは、日本人で罹患率の高いがんであるため、胃がんの悪性化を模倣するマウスモデルの開発は、胃がんの死亡率の克服のために重要な課題である。今回の研究で、新規悪性化胃がんモデルマウスの開発には至らなかったが、大腸がんと異なり、TGF-beta遮断や変異型p53発現だけでは悪性化に至らないことを個体レベルで証明した。現在、胃がん悪性化に関与が示唆される遺伝子である、K-rasの変異を導入するマウスとの交配を行っている。また、炎症反応特異的に発現するCldn2遺伝子プロモーターを使ったCre発現マウスによって、炎症反応特異的にがん関連遺伝子を発現させることにより、悪性化マウスモデル開発が期待できる。
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