研究課題
基盤研究(C)
ポリアミン(PA)は、生理活性物質として生命活動維持に重要な役割を果たしている。大腸菌内で、PA濃度はアセチルト転移酵素(SAT)によって影響される。SATはアセチルCoAからスペルミジン(SPD)の両端の一方にアセチル基を転移する。アセチル化されたSPDは細胞外へと排出され、その結果細胞内SPD濃度は減少する。本研究では、SATの構造と機能を明らかにするために、基質SPDと生産物CoAが結合したSAT複合体構造を2.5 A分解能で決定した。この複合体構造は、SATがフレキシブルな分子であるPAに対してブロードな基質特異性を持っていることを明らかにした。
大腸菌ではポリアミン(PA)の生合成、分解、輸送に関わる遺伝子は、全体の実に0.6%も占めています。このことは、生体内でのPA制御機構が崩れると生命活動に影響を及ぼすことからも分かるように、生体内でのPA濃度の制御が非常に重要であると言えます。このように重要な機能を持つPAの細胞内濃度調節機構について構造生物学的な観点から研究を進めています。PA濃度はアセチル転移酵素(SAT)によって一部制御されています。SATは、病原性の赤痢菌や大腸菌の生存能力に重要な役割を持っています。本研究では、SATの立体構造を明らかにすることによりPAアセチル化転移反応機構を解明しました。
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