研究課題
基盤研究(C)
本研究では、両生類の腎尿細管の再生をモデルにして、その再生過程で発現が亢進するLhx1遺伝子の発現を再生中の細胞でオンにするエンハンサー(再生シグナル応答エンハンサー)が、再生能の高い動物だけでなく再生能の低い哺乳類でも保存されていること、その活性化は、転写因子Arid3aが結合することにより、Arid3aがヒストンH3タンパク質の9番目のリジン残基のトリメチル基 (H3K9me3)を脱メチル化する酵素Kdm4aを呼び込み、エンハンサーのエピゲノム状態を変えることが重要であることを発見した。また、Arid3aの働きを阻害すると腎管 の再生が起こらないことを明らかとした。
進化の過程で両生類や魚類が再性能を獲得したのか、ほ乳類が再生能を失ったのか、これまでのところ、この問いに直接的な答えとなる分子実体を示した研究はなかった。一方で、ゲノムの比較解析と遺伝子の機能の解析からは、発生再生に関わる遺伝子は、その種類、数、機能が、進化的に高度に保存されていることが示されている。本研究により、再生を制御する遺伝子のみならず、その遺伝子の発現をオンにする調節配列も進化的に保存されていることと、その活性化メカニズムが明らかとなった。この発見は、ほ乳類においてその働きが抑制されていると予想されるシステムの解除による組織再生技術へと繋がる点において今後の発展の可能性が高い。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 8件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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