研究課題
基盤研究(C)
Skeletonema属10種について定量PCRとマルチプレックスPCRのためのプライマーセットを開発した。これらを用いて、種組成の解析、を進めた。その結果、有明海、東京湾ともに、淡水産種S. potamosを含む6種以上のSkeletonema属が検出された。流入河川感潮域底泥には多くのSkeletonema属が存在していて、大雨による出水後には底泥がSkeletonema属による赤潮のタネ場として機能する可能性が示唆された。冬季に出現するS. japonicumとS. marinoi-dohrnii complexの競争は環境条件でなく、殻径によって勝者が替わりうることを実験的に示した。
珪藻Skeletonema属は、世界中の多くの内湾に出現し、とりわけ富栄養な水域で優占することが知られている。東京湾とアメリカのナラガンセット湾ではどちらも植物プランクトンの90%以上が、Skeletonemaとされる。2005、2007年のSarnoらの発表によりS. costatumは、8種にも分類された。この新しい分類体系に基づく種同定は、単離と単離株の種同定に依存し多大な労力と時間を要していたが、本研究で開発されたプライマーセットにより迅速な種判別および定量解析が可能になった。世界の内湾で季節を問わず赤潮を起こすSkeletonemaの動態について今後大きく研究が進むことが期待される。
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Journal of Oceanography
巻: in press 号: 4 ページ: 319-334
10.1007/s10872-018-00504-3
Journal of Phycology
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