水稲登熟期の稲体内窒素動態の解析―解析材料育成とそのための基礎研究―

• 研究課題/領域番号: 16K07578
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 基金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 作物生産科学
• 研究機関: 石川県立大学
• 研究代表者: 塚口 直史 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40345492)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2018年度)
• 配分額: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円); 2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円); 2017年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円); 2016年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
• キーワード: イネ / 窒素利用効率 / タンパク質含量 / 子実窒素集積性 / 窒素分配 / 子実タンパク質集積性 / QTL / 水稲 / 窒素動態 / 量的形質遺伝子座（QTL） / 玄米タンパク質濃度 / 登熟 / QTL解析 / 準同質遺伝子系統

研究成果の概要

本研究の目的は、子実へのタンパク質蓄積は主に遺伝的に決まり環境の影響を受けない子実タンパク質集積性によって決まるとの仮説の下、子実タンパク質集積性を遺伝学的および生理・生態学的に明らかにすることを目的とする。子実タンパク質集積性の定量評価法を開発し、品種比較を行い、その高い品種と低い品種を選抜した。それらの品種を両親としてF2およびF3集団を育成した。QTL解析の結果、子実窒素集積性に関与するQTLが複数見つかり、そのうち2つのQTLが世代および窒素条件に関わらず検出された。現在この2つのQTL領域についてもう一方の親の遺伝子型の染色体断片に置き換えた準同質遺伝子系統を育成中である。

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究により、子実窒素集積性は他の遺伝形質や環境要因ともに、子実のタンパク質含量、登熟期のイネ体窒素動態に寄与することが分かった。イネの子実タンパク質含量は栄養的および食味的な側面から重要な形質である。また、持続的な農業生産や環境負荷を最低限にしながら収量性を高めることが重要でなり、イネ体の窒素利用効率の高い品種の育成が求められるが、そのためにはイネ体窒素動態の解明が不可欠でかる。本研究の成果はそれらを目的とした品種育成に寄与することが期待される。

研究成果

• [雑誌論文] 夜間掛流し灌漑が出穂後20日間の平均水温・地温および米の外観品質に与える影響. (2018)
  • 著者名/発表者名: 西田和弘・塚口直史・二宮悠樹・宇尾卓也・吉田修一郎・塩沢昌
  • 雑誌名: 農業農村工学会論文集. 巻: 306 ページ: 105-115
  • NAID: 220000164647
  • 査読あり
• [雑誌論文] Effects of high temperature and shading on grain abscisic acid content and grain filling pattern in rice (Oryza sativa L.). (2018)
  • 著者名/発表者名: Tsukaguchi, T., Tanaka, R., Inoue, H. and Nakagawa, H.
  • 雑誌名: Plant Production Science 巻: 21 号: 4 ページ: 333-339
  • DOI: 10.1080/1343943x.2018.1524264
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 子実窒素集積に着目したイネ体窒素分配の解析． (2018)
  • 著者名/発表者名: 塚口直史
  • 雑誌名: アグリバイオ 巻: 2 ページ: 76-80
  • NAID: 40021803271
• [雑誌論文] 夜間掛流し灌漑が出穂後20日間の平均水温・地温および米の外観品質に与える影響 (2018)
  • 著者名/発表者名: 西田和弘・塚口直史・二宮悠樹・宇尾卓也・吉田修一郎・塩沢昌
  • 雑誌名: 農業農村工学会論文集 巻: 印刷中
  • NAID: 220000164647
  • 査読あり
• [雑誌論文] Detection and validation of QTLs for milky-white grains caused by high temperature during the ripening period in <i>Japonica</i> rice (2017)
  • 著者名/発表者名: Miyahara, K., Wada, T., Sonoda, J., Tsukaguchi, T., Miyazaki, M., Tsubone, M., Yamaguchi, O., Ishibashi, M., Iwasawa, N., Umemoto, T., Kondo, M.
  • 雑誌名: Ｂｒｅｅｄｉｎｇ Ｓｃｉｅｎｃｅ 巻: 67 号: 4 ページ: 333-339
  • DOI: 10.1270/jsbbs.16203
  • NAID: 130006164471
  • ISSN: 1344-7610, 1347-3735
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Cultivar differences in the grain protein accumulation ability in rice (Oryza sativa L.) (2016)
  • 著者名/発表者名: Tsukaguchi, T., Nitta, S., Matsuno, Y.
  • 雑誌名: Field Crops Research 巻: 192 ページ: 110-117
  • DOI: 10.1016/j.fcr.2016.04.022
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] The effects of nitrogen uptake before and after heading on grain protein content and the occurrence of basal- and back-white grains in rice (Oryza sativa L.). (2016)
  • 著者名/発表者名: Tsukaguchi, T., Taniguchi, Y., Ito, R.
  • 雑誌名: Plant Production Science. 巻: 19 号: 4 ページ: 508-517
  • DOI: 10.1080/1343943x.2016.1223527
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] A quantitative measure for assimilate partitioning efficiency in rice (Oryza sativa L.). (2016)
  • 著者名/発表者名: Tsukaguchi, T., Murakami, K., Michimoto, T.
  • 雑誌名: Field Crops Research 巻: 198 ページ: 122-130
  • DOI: 10.1016/j.fcr.2016.08.033
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] 水稲の高温障害抑制のための掛流し灌漑が水田の窒素環境と稲の窒素吸収に与える影響. (2018)
  • 著者名/発表者名: 西田和弘・柴田里子・塚口直史・吉田修一郎・塩沢昌
  • 学会等名: 平成30年度農業農村工学会大会講演会（京都）
• [学会発表] 水稲の高温障害抑制のための掛流し灌漑が田面水・土壌水の窒素濃度と玄米タンパク質濃度に与える影響. (2018)
  • 著者名/発表者名: 西田和弘・柴田里子・塚口直史・吉田修一郎・塩沢昌
  • 学会等名: 日本土壌肥料学会2018年度神奈川大会（藤沢）
• [学会発表] Effect of continuous irrigation with running water on the nitrogen environment in a paddy field. (2018)
  • 著者名/発表者名: Nishida, K., Shibata, S., Tsukaguchi, T., Yoshida, Y., and Shiozawa, S.
  • 学会等名: PAWEES & INWEPF international conference 2018 (Nara)
  • 国際学会
• [学会発表] ダイズの栽植密度が収量および品質に及ぼす影響． (2018)
  • 著者名/発表者名: 丹保彩香・今本裕士・吉田翔伍・塚口直史
  • 学会等名: 北陸作物・育種学会第55回講演会（長岡）
• [学会発表] 発育予測モデルによる水稲新品種「石川65号」の出穂予測． (2018)
  • 著者名/発表者名: 宇野史生・島田雅博・吉田ひろえ・中川博視・塚口直史
  • 学会等名: 北陸作物・育種学会第55回講演会（長岡）
• [学会発表] 窒素が決めるコメの品質. (2018)
  • 著者名/発表者名: 塚口直史
  • 学会等名: 平成30年度石川県土壌肥料懇話会（金沢）
  • 招待講演
• [学会発表] 石川県で育成された水稲新品種「石川65号」における品質を考慮した目標収量の設定． (2017)
  • 著者名/発表者名: 宇野史生・島田雅博・塚口直史
  • 学会等名: 日本作物学会第243回講演会
  • 発表場所: 東京大学農学部
  • 年月日: 2017-03-29
• [学会発表] 水稲の登熟期窒素動態の支配要因としての玄米タンパク質集積性． (2016)
  • 著者名/発表者名: 松野由莉・新田純代・塚口直史
  • 学会等名: 日本作物学会第242回講演会
  • 発表場所: 龍谷大学瀬田キャンパス
  • 年月日: 2016-09-10