研究課題
基盤研究(C)
イネいもち病菌非病原力遺伝子AVR-Piaの変異頻度比較実験を行った。イネ菌野生株(AVR-Pia非保有)に対し、AVR-Piaを転移因子の多い領域に導入したta#126と転移因子の少ない領域に導入したzt#1を作出し、Pia保有抵抗性イネ品種に対する接種試験を行った。抵抗性品種の葉上に形成された病原性獲得変異菌由来の病斑数より変異頻度を比較したところ、ta#126の方がzt#1より頻度が高かった。分離した変異菌における変異機構は、いずれも導入したAVR-Piaの欠失変異で、欠失領域の両端には転移因子が存在していた。欠失領域の大きさは転移因子間の距離が一因となっていることが示唆された。
世界のイネの最重要病原体のひとつであるイネいもち病菌は、イネ品種に対する病原性変異が多様であり、この変異メカニズムの解明と変異リスクの予測は、抵抗性育種への応用にも繋がる。いもち病菌が宿主に対する病原性の決定を担っているのが非病原力遺伝子であるが、これらの遺伝子の重要な変異機構としてゲノムからの欠失が挙げられる。本研究結果は、非病原力遺伝子が欠失するか否かを決定するのが周辺に存在する転移因子であり、転移因子頻度の高いゲノム領域に存在する非病原力遺伝子は欠失するリスクの高い状態にあることを示唆するものである。
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https://www.obihiro.ac.jp/faculty-r/izumi-chuma