研究課題
基盤研究(C)
英虞湾内の湾奥において、2016年6月から2018年1月にかけて有害赤潮ラフィド藻シャットネラ・シストの現場海底からの発芽量を季節的に実測するとともに、栄養細胞の季節消長を調べた。シストの現場発芽量実測にはPET チャンバーを用いた。現場海底上におけるシストは春季に底泥温度が発芽可能域に達すると直ちに発芽を開始して栄養細胞を水柱中に供給し、次いで夏季に水温が増殖に適した時期になると栄養細胞が大きな個体群を形成した。このことから、シストは栄養細胞増殖のタネとして寄与している一方、個体群の形成にはシストの発芽量の大小ではなく栄養細胞自身の増殖の程度が大きく関与するものと結論づけられた。
ラフィド藻類のシャットネラは国内外の各地で赤潮を起こし魚類の大量斃死を引き起こす有害鞭毛藻であるため、その個体群形成機構を解明することは水産学的に重要な課題である。本研究課題で取り組んだ研究手法により、栄養細胞群増殖のタネとなるシストの現場における発芽と栄養細胞の増殖において温度が大きく関わっていることを示し得た。このことは、各海域におけるシャットネラの個体群形成機構を解明するために重要な基礎的知見となるものであり、またシャットネラの増殖を予知する上でも大きく貢献するものである。
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Phycologia
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