研究課題
基盤研究(C)
アジ科アジ亜科魚類について,形態学的および分子生物学的解析を行った結果,本亜科はヨロイアジ群,ギンガメアジ群,ムロアジ群の3群に大別され,「ヒラアジ類」はこの3群すべてに含まれた.この系統関係は従来のものと大きく異なり,アジ亜科は解析できなかった2属を加えて30属で構成され,このうち26属が「ヒラアジ類」であった.ヨロイアジ群は13属(4新属を含む),ギンガメアジ属は12属(1新属を含む)に分類すべきとの結論を得た.カイワリ属について,属の有効性および2未記載種を含む5種で構成されることを明らかにした.さらに日本産ギンガメアジ属稚幼魚の検索表を作成した.
本研究は分子生物学的手法によって得られた情報を単に属間などの系統関係のみに利用するだけではなく,これに基づいて属や種の形態的範囲を規定し,正確な属や種の同定法を確立させるものである.本研究結果から,アジ亜科の多くの属では種構成や属間系統関係も大きく変貌した.本研究結果は,日本およびヒラアジ類を重要な食糧資源としている東南アジア諸国での,これらの魚類に関する水産資源学の発展に大きく寄与する.さらに本研究結果は魚類の多様性をより理解するのに大きく貢献し,世界中に広く分布している魚類の系統類縁関係を遺伝的手法を用いて解析していることから,海洋生物の系統地理学的分野にも大きく貢献するものである.
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Vietnam J. Mar. Sci. Tech.
巻: 19 ページ: 269-276
Nature of Kagoshima
巻: 45 ページ: 1-9
120006886190