研究課題
基盤研究(C)
魚巣と魚溜が設置された農業用排水路の区間を対象に,流れと路床変動の現地観測と数値計算を行った.4年間の路床標高の分布から,魚巣と魚溜での堆砂変化量を推定した.その結果,魚巣での堆砂・洗掘は1年周期で変化し,6個の魚巣全体への堆砂増加量は小さい一方,堆砂が顕著で生息可能域が減少する魚巣があることがわかった.また,左岸側魚巣への顕著な堆砂を数値計算で再現できた.さらに,魚巣の規模により堆砂・洗掘傾向が大きく変化することを示し,より有効な環境配慮工の設計に向けて対処すべき課題を明確にした.
農業用排水路における環境配慮工の価値は,水路の生態系保全機能だけでなく,営農,治水,維持管理,経済性等の観点からも評価する必要がある.しかし,複数の観点から環境配慮工を評価するための方法論は確立されていない.一方,流れと路床変動の数値計算を用いれば,水深,流量,堆砂量の変化を系統的に発生させることができるため,営農,治水,維持管理性を踏まえつつ生態系保全機能を定量化できる.本研究ではこの点に着目し,環境配慮工のより良い設計のために既存の数値モデルにより何ができ,何ができないかを整理した.
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