研究課題/領域番号 |
16K08246
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
長島 駿 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (40634465)
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研究分担者 |
稲留 涼子 東京薬科大学, 生命科学部, 研究員 (90408691)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2016年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2017年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2016年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ミトコンドリア / MAM / ユビキチンリガーゼ / MITOL / mitochondria / カルジオリピン / SBF-SEM |
研究実績の概要 |
我々はミトコンドリア外膜に局在するユビキチンリガーゼMITOL/MARCH5がミトコンドリアダイナミクスの制御(ミトコンドリア分裂制御、ミトコンドリアとERの接着点の形成制御)に重要な働きを担うことを報告した。また、その他の国外の研究グループからもMITOL/MARCH5がミトコンドリア分裂や老化、発生に関与することが報告されており、ミトコンドリアの機能維持におけるMITOLの重要性が明らかになりつつある。しかしながら、これまでにMITOL欠損マウスの報告はされておらず、個体におけるMITOLの機能解析は重要なテーマのひとつといえる。本研究では神経系特異的にMITOLを欠損させたMITOL flox/flox, Nestin-Creマウス(MITOLnKO)と大脳皮質・海馬・嗅球特異的にMITOLを欠損させたMITOL flox/flox, Emx1-Creマウス(MITOLeKO)を用いて解析を進めた。MITOLnKOは体が小さいことが認められた。一方、MITOLeKOはMITOLnKOと異なり、体重低下が認められなかったことから、大脳皮質・海馬におけるMITOLの機能を直接的に解析できると考え、MITOLeKOを用いて、海馬神経細胞におけるミトコンドリアおよびmitochondria-associated ER membrane (MAM)の解析を行った。本研究では、ミクロトーム組み込み型走査電子顕微鏡(SBF-SEM)を用いてMAMの三次元再構築を行い、より正確なMAMの形態学的な解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経細胞におけるMITOLの機能解明を解明するために神経細胞特異的にMITOLを欠損させたMITOLnKOと大脳皮質・海馬・嗅球特異的にMITOLを欠損させたMITOLeKOを用いて解析を進めた。MITOLnKOは体が小さいことが認められたことから、体が小さくなる原因を明らかにするために脳下垂体から分泌されるGowth hormoneに着目し、解析を行った。また、Nestin-Creマウスにおいても脳下垂体から分泌されるGrowth hormoneが減少するとの報告があったことから、Nestin-Creマウスもコントロールとして加え比較した。MITOLnKOはMITOL flox/flox、Nestin-Creマウスと比較してGrowth hormoneの分泌量が小さいことが明らかとなり、Growth hormoneの低下がMITOLnKOの体重減少を引き起こすことが示唆された。 MITOLeKOはMITOLnKOと異なり、体重低下が認められなかった。MITOLはミトコンドリアダイナミクスを制御することから、MITOLの欠損がミトコンドリア形態に及ぼす影響を確認した。本研究では、ミクロトーム組み込み型走査電子顕微鏡(SBF-SEM)を用いて、海馬神経細胞のミトコンドリアおよびMAMの三次元再構築を行い、ミトコンドリアとMAMの形態学的な解析を行った。MITOLの欠損はミトコンドリアの体積とMAM形成数の減少を引き起こした。培養細胞の実験と同様に、神経細胞においてもMITOLがミトコンドリアの形態を制御することが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
Growth hormoneの低下がMITOLnKOの体重減少を引き起こすことが示唆されたが、そのメカニズムは不明である。今後は、脳下垂体を制御する視床下部に着目し、MITOL欠損によるGrowth hormoneの分泌量減少のメカニズムの解明を試みる。 また、ミトコンドリアは様々な脂質が局在しており、重要な機能を担っている。なかでもカルジオリピンはミトコンドリアに特異的に局在するグリセロリン脂質であり、カルジオリピンの異常はミトコンドリアの機能に多大な影響を与える。カルジオリピンの産生にミトコンドリアと小胞体の脂質のやり取りが必要である。実際に酵母においてミトコンドリアと小胞体の接着点が破綻するとカルジオリピンの産生に異常が生じる。しかしながら、哺乳類におけるカルジオリピンの研究は不十分であり、MAMとカルジオリピンの関連についての解析が必要である。本研究ではMITOLを欠損したマウスおよびマウス線維芽細胞(MEF細胞)を用いて、カルジオリピンの状態の比較を行い、MAMの破綻とカルジオリピンの関係を明らかにする。具体的には、ミトコンドリア画分から脂質を抽出し、薄層クロマトグラフィー(TLC)を用い、ミトコンドリアに局在する主要な脂質を比較する。また、カルジオリピンの分子種を比較するために脂質抽出後、液体クロマトグラフ質量分析(LC/MS)を用いて解析する。MAMの破綻によるカルジオリピンの分子種の変化を比較する。MAM破綻によるカルジオリピンの状態を解明するこができれば、MAM破綻によるミトコンドリアの機能異常が引き起こることが示唆できる。
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次年度使用額の使用計画 |
人件費・謝金ならびに物品費として使用を予定している、
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