研究課題
基盤研究(C)
高次の処理、例えば注意・共感・意思決定などを司る前部帯状回ACCはストレスの影響を強く受ける。しかし、ストレスホルモンがACCのどこに作用するかは不明であった。本研究では、ストレスホルモンの結合する受容体が、マウスACCの興奮性と抑制性の神経細胞に存在することを明らかにした。これらの細胞は集団で活動し、発振(オシレーション)現象を引き起こす。この発振現象は上記のACCの機能を発揮する際に必要である。ストレスホルモンによって、この発振現象も変化することを明らかにした。
ストレスに対して影響を受けやすいと言われていた前部帯状回において、ストレス時に分泌されるホルモンがどの種類の細胞に作用するかを明らかにした点、また、注意・共感・意思決定といった高次脳機能を発揮する際に観測される神経回路の発振現象が、このストレスホルモンによって変化することを明らかにした点。以上二点から、前部帯状回の高次機能がストレスによってどのように変化させられるのか、その解明につながることが期待される。
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Neuroscience
巻: 437 ページ: 172-183
10.1016/j.neuroscience.2020.04.021