研究課題
基盤研究(C)
動脈硬化性疾患におけるERK5活性化と内皮間葉転換(EndMT)の関与を明らかにする目的で研究を実施した。スタチン系製剤やポリフェノールの一種であるケルセチンは、培養血管内皮細胞においてERK5活性化を介して一酸化窒素合成酵素(NOS)の発現を増加させた。NOS発現の増減に一致して、内皮細胞マーカーでありEndMTに関与するVE-カドヘリン発現も上昇させることが明らかとなった。これらの薬物の血管内皮細胞保護効果は、マウスにおいて一酸化窒素合成酵素阻害剤投与によって惹起された血管障害を改善することからも確認された。以上より、ERK5活性化が動脈硬化性疾患発症予防に寄与する可能性が示唆された。
粥状動脈硬化や大動脈瘤、大動脈解離、虚血性心疾患、脳卒中など、高血圧や加齢などを基礎疾患とする動脈硬化性疾患は、今なお日本人の主な死亡原因を占めているのが現状である。動脈硬化巣の形成は慢性的に進行するが、それに伴っておこる心血管イベントは予兆なく急激に発症し、致死的な転機をたどることも少なくない。そのため、イベント発症機序を明らかにし、予防戦略を確立することは非常に社会的意義がある。本研究課題では内皮間葉転換に着目し、内皮細胞におけるERK5活性化が動脈硬化性疾患のイベント発症予防に貢献し得る可能性を見出した。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 2件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 11件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 10件、 招待講演 2件)
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