研究課題
基盤研究(C)
我々は紫外線(UV) 照射後DNA損傷を修復するヌクレオチド除去修復(NER)に関わる新規細胞内因子の解析を行った。その結果ヒストンアセチルトランスフェラーゼHBO1が損傷部位のヒストンH3K14をアセチル化することがISWIファミリーのクロマチンリモデリング因子をリクルートしてXPCなどのNERコア修復因子の集積を促進することを証明した。S期のHBO1リン酸化はDNA複製阻害により活性化したATRにより行われNERが促進した。一方興味深いことにヒストンH3K14を脱アセチル化するヒストン脱アセチル化酵素HDAC3もXPCの損傷部位へのリクルートに働くことが明らかにされた。
様々なDNA損傷に働くNER機構が破綻するとメラノーマなど遺伝子変異の多い癌の原因となる。我々の研究から細胞内でNERが正常に働くためにクロマチン構造をオープンにするヒストン修飾と反対にクロマチンをクローズするヒストン修飾両方が必要とされることが示された。この結果はDNA修復過程においてダイナミックな染色体構造の変換が能動的に起こることを意味しており細胞内のNERを理解する一助となる。NERに必要な新たな因子をモニターすることで癌の早期発見など臨床的な応用も可能となる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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