研究課題
基盤研究(C)
細胞膜ドメインはがん細胞の悪性形質発現に極めて重要な役割を果たしているが、その機能調節機構に関する知見は乏しい。本研究課題では、脂質輸送と脂質代謝の連関を明らかにするとともに、脂質代謝変化が膜ドメイン機能に与える影響を解析した。その結果、コレステロールやスフィンゴ脂質の細胞内輸送が、脂質合成や細胞膜ドメイン機能を調節していることが示され、これらの連関ががん細胞の悪性形質の発現に関与していることを明らかにした。
がん細胞では特徴的な代謝変化がしばしば認められ、この性質はがん細胞の悪性形質に深く関与している。がん細胞における脂質合成の亢進は、このような代謝的な特徴の一つである。また、オンコジェニックシグナルの活性化において、脂質ラフトと呼ばれるコレステロールおよびスフィンゴ脂質を豊富に含む膜ドメインが重要な役割を果たしている。本研究課題では、コレステロールを中心とする脂質合成と脂質ラフト構成脂質の細胞内輸送が膜ドメイン機能を調節していることを明らかにし、がん細胞における脂質代謝の重要性の一端を明らかにした。
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