研究課題
基盤研究(C)
膵癌組織から上皮内癌と浸潤癌を回収してゲノム異常を比較した結果、浸潤癌では8番染色体短腕(8p)が欠失していることを見出した。また8p欠失によって発現低下する遺伝子としてMAPキナーゼ脱リン酸化酵素DUSP4を同定した。DUSP4の導入は膵癌細胞のMAPキナーゼ活性を不活化して、浸潤能を減弱した。さらに、免疫不全マウスを用いたヒト膵癌移植モデルで、MAPキナーゼ阻害剤は腫瘍の縮小、転移の抑制、生存期間の延長をもたらした。以上の結果から、DUSP4は浸潤を制御する新規のがん抑制遺伝子であり、DUSP4欠失によって活性化するMAPキナーゼは膵癌の治療標的となり得ることが明らかとなった。
膵癌は最も予後不良な癌の一つで、5年生存率は10%に満たない。その理由として、①早期に浸潤癌に進展するため、根治切除術の適応になる症例が少ないこと、②既存の抗癌剤が奏功する症例が少ないことが挙げられる。したがって、浸潤に関わる分子メカニズムを解明して、それを治療標的とする新規治療法を開発すれば、膵癌の治療成績や予後は改善されることが期待できる。本研究によって、膵癌の新規がん抑制遺伝子DUSP4が同定され、MAPキナーゼの治療標的としての重要性が確認された。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 1件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 2件)
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