研究課題
基盤研究(C)
細胞内小胞に存在する Soluble N-ethylmaleimide-sensitive factor attachment protein receptors (SNARE)は膜輸送に重要な役割を果たし,syntaxinはそのSNAREの構成成分である.膜輸送は様々な癌の発生に関与することが明らかになりつつある.α-taxilinはSNAREの外にあるfree syntaxinに結合し,膜輸送の調節機能を果たすと考えられている.実際に,α-taxilinは脳腫瘍,肝細胞癌,腎細胞癌の発生に何らかの役割を果たすことが報告されている.そこで我々は大腸癌の発生におけるα-taxilin発現の意義について検討を行った. 最初に腺腫成分を含む上皮内癌20例について免疫組織化学的にα-taxilinの発現を調べた.α-taxilinの発現はKi-67で示される細胞増殖能力と有意に相関が見られた.α-taxilinとKi-67は上皮内腫瘍の表層部分1/3に同様に高発現していた.これらの結果はα-taxilinの発現は細胞の増殖能の指標になるが,悪性の指標にはならないことを示唆した.次に進行大腸癌57例を用いて,α-taxilinの発現と予後との関連を調べた.大腸癌の悪性度をそろえるため,左側結腸,ステージII/IIIの高-中分化腺癌を解析の対象とした.腫瘍の表層部分ではα-taxilinの強発現が見られたが,腫瘍先深部では発現レベルは様々であった. 腫瘍先深部のα-taxilinの発現レベルは,腫瘍の局所浸潤性や予後との有意な相関を示さなかった.α-taxilinは大腸発癌において細胞増殖の指標ではあるが,悪性度や予後の指標にはならないことが明らかになった.
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Oncol Lett
巻: 14 号: 2 ページ: 1471-1476
10.3892/ol.2017.6309
World J Gastroenterol
巻: 24 号: 12 ページ: 1332-1342
10.3748/wjg.v24.i12.1332