研究課題
基盤研究(C)
高悪性形質を示すACAT1陽性悪性腫瘍について免疫染色を用いた検討を行った。脳腫瘍、肺癌、乳癌、食道癌、胃癌、大腸癌、膵癌、胆管癌、肝細胞癌、子宮癌、卵巣癌など多彩な臓器由来の腫瘍細胞がACAT1陽性像を示していたが、これらの悪性腫瘍に由来する腫瘍細胞株の大部分はACAT1阻害剤存在下でも有意な腫瘍増殖抑制効果は示さなかった。われわれが確認した範囲内では、脳腫瘍細胞株U-251MGならびに前立腺癌細胞株PC-3にはACAT1阻害薬存在下に腫瘍細胞の増殖抑制効果がみとめられた。U-251MGを用いた解析ではACAT1阻害薬添加によりAktとERKの活性化が抑制された。従って、細胞内遊離コレステロールエステル化阻害によりAkt/ERKシグナル伝達系が阻害されることが示唆された。U-251MGならびにPC-3はいずれもヒアルロン酸受容体であるCD44を発現しているが、これらの腫瘍細胞の培地内にヒアルロン酸を添加しても腫瘍の増殖に影響は認められなかった。従って、少なくともU-251MGならびにPC-3においてはCD44を介した腫瘍増殖シグナル経路は否定的である。但し、現時点では高脂血症病態(LDL添加培地)におけるCD44の役割は検討しておらず、今後の検討が必要である。一方、悪性リンパ腫細胞を用いた解析では高脂血症病態に依存して腫瘍細胞が増殖するが、この増殖はACAT1阻害薬に影響を受けない一方でスカベンジャー受容体の一つであるCD36に依存して増殖することが示された。この現象がU-251MGやPC-3においても再現できるか検討する予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (7件)
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