研究課題
基盤研究(C)
我々はこれまで、初期T細胞分化の分子機構の理解を目指し、T細胞分化能の異なる2種類のEbf1欠損pro-B細胞を樹立した。両者の発現プロファイリングの比較から、Lmo2を同定し、Lmo2の過剰発現により、T細胞分化能が回復することを見出した。そこで本研究では、Lmo2のT細胞分化能維持機構について調べた。その結果、①Bcl11aを標的分子として発現誘導に関わり、その下流分子Bcl2の機能を介して、未分化造血細胞におけるNotch刺激耐性を付与すること、②エピジェネティック制御により、Tcf7遺伝子座のNotchシグナル応答性の維持に寄与していることを明らかにした。
iPS細胞の臨床応用など、近年の再生医療の発展は顕著であるが、応用研究に利用される幹細胞の性状を分子的に理解することは、臨床応用に向けた重要な課題である。しかし、iPS細胞以外の組織幹細胞の性状はいまだに理解が不十分であり、幹細胞がどのように高い未分化性を維持できるのか明らかではない。本研究は、きわめて均一化された造血未分化細胞を用い、リンパ系細胞への分化能維持について追求したものであり、造血幹細胞移植等の発展に寄与するものと考えられる。
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J Exp Med.
巻: 215 号: 6 ページ: 1609-1626
10.1084/jem.20172310