研究課題/領域番号 |
16K08987
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
疼痛学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大塚 真史 東京大学, 医学部附属病院, 登録診療員 (90772228)
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研究分担者 |
福原 浩 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20292948)
井川 靖彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (40159588)
本間 之夫 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (40165626)
伊藤 伸子 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80332609)
相澤 直樹 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80595257)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2016年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2017年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2016年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 疼痛 / ヘルペスウイルス / 疼痛学 |
研究実績の概要 |
本研究では、潜伏感染状態でも発現し続けるLAT(latent)プロモータ下に、δオピオイド受容体に作用するエンケファリン(hPPE, human prepro-enkephalin)、CB1受容体に作用する内因性カンナビノイドであるアナダミド(AEA, anandamide)、CB2受容体に作用するアラキノイドグリセロール(2-AG, 2-arachidonoylglycerol)を発現するウイルスを作製する。T3-hPPE、T3-AEA、T3-PEAウイルスを作製して、ラットやマウスによる行動実験にて疼痛を抑制するかその効果を確認し、さらに安全性も確認することによって、臨床応用まで進むことを考えている。 本研究グループは独自のT-BACシステムを利用した「鎮痛遺伝子発現型ウイルスの作製システム」の作製に成功している。遺伝子発現ウイルスとしては、今回の潜伏感染とは異なるが、既にβエンドルフィン(βEP)を発現するT-βEPウイルスも作製済みである。上記のT-BACシステムはG47deltaウイルスとBACプラスミドの相同組み換えに頼るため、作成には通常2年ほどの期間を要するが、既に構築に成功しており、開発期間の大幅な短縮と、スクリーニングによる良い抗癌ウイルスの選定が可能となっている。今研究ではウイルス作製から開始することができ、大きな利点である。 平成28年度では、LATプロモータ下に遺伝子を組み込めるように操作したシャトルベクターSV-03にエンケファリン(hPPE)を組み込んだ、SV-03-hPPE プラスミドを作製した。陰性コントロールであるT-03ウイルスは既に作製しており、T3-hPPE、T3-AEA、T3-PEAウイルスおよび陽性コントロールであるCMVプロモータ下にhPPEを発現するT1-hPPEウイルスの2種類を作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度では、LATプロモータ下に遺伝子を組み込めるように操作したシャトルベクターSV-03にエンケファリン(hPPE)を組み込んだ、SV-03-hPPE プラスミドを作製する予定であったが、予定通りウイルス作製に成功している。陰性コントロールであるT-03ウイルスは既に作製しており、T3-hPPE、T3-AEA、T3-PEAウイルスおよび陽性コントロールであるCMVプロモータ下にhPPEを発現するT1-hPPEウイルスの2種類を作製した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度では、膀胱痛モデルマウスにて行動実験の検討を行う。炎症性膀胱痛モデルとしては、広く一般的に用いられているシクロフォスファミド(CYP)誘発膀胱炎ラットモデルと、我々が新規開発中のTLR7(Toll-like receptor7)刺激による膀胱炎・膀胱痛マウスモデルの2つを用いる。TLRは、病原体に対する自然免疫応答を介した生体防御機構に必須の受容体である。このうちTLR7は、間質性膀胱炎(IC)を合併する頻度の高い自己免疫疾患であるSLEやシェーグレン症候群の病態に関与することから、ICとの関連性も示唆される。我々は、ヒトIC患者の膀胱生検組織においてTLR7が強発現していること、並びに、マウスの膀胱内にTLR7選択的刺激薬Loxoribine(LX)を注入すると、少なくとも注入後3日まで、頻尿・膀胱痛様行動が惹起され、膀胱壁は肥厚・充血し、組織学的にも粘膜下に炎症像を呈することを確認している。予備実験では、βエンドルフィン(βEP)発現型のT-βEPウイルスを使用して検討している。足底に直接注射して、支配神経L5の神経後根DRGでβEPが発現することを確認している(図2)。先行のβEPの検討では、足底→腓腹筋→坐骨神経→神経後根と神経を上行するに従って発現量が低下しており、最終目的の神経後根DRGでの発現のみの検討で充分であると考えている。実際には、注入7日後に、膀胱の求心性神経支配領域である第6腰髄(L6)及び第一仙髄(S1)DRGを摘出し、内因性リガンドhPPE、AEA、2-AGの発現の有無を確認する。RT-PCR法にて、DRGからRNAを抽出してcDNAを作製し、内因性リガンドの配列でPCRを行って、発現の有無を確認する。さらに、hPPEには免疫組織染色に適した抗体が存在するため、採取した神経後根DRGの組織を処理して、免疫組織染色でも発現の有無の確認を行う。
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