アルツハイマー病の発症機構におけるNeurovascular Unitの関与

• 研究課題/領域番号: 16K09248
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 基金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 内科学一般(含心身医学)
• 研究機関: 大分大学
• 研究代表者: 木村 成志 大分大学, 医学部, 准教授 (30433048)
• 研究分担者: 花岡 拓哉 大分大学, 医学部, 講師 (40433057) ; 麻生 泰弘 大分大学, 医学部, 助教 (80555194)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2018年度)
• 配分額: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円); 2018年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円); 2017年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円); 2016年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
• キーワード: Neurovascular unit / Alzheimer’s disease / MCI / MRI / PIB-PET / FDG-PET / Blood-brain barrier / Biomarker / 大脳白質病変 / 血液脳関門障害 / MMP / TIMP / 認知症予防 / 血管危険因子 / neurovascular unit / アミロイドPET / 軽度認知障害 / 大脳白質変性 / Neurovascular Unit / アルツハイマー病 / バイオマーカー

研究成果の概要

大脳白質病変(WMLs)は、生活習慣病、特に高血圧と関連し、アルツハイマー病(AD)発症の前段階から認知機能低下および脳機能低下に影響する。WMLsを有するアミロイド陽性の軽度認知障害では、blood-brain barrier(BBB)に関連する血漿中のMMP、fibrinogen、plasminogenが増加し、TIMPが低下する。さらに、脳髄液中のMMPが増加し、TIMPが低下する。WMLsの重症度とBBB障害マーカーは、脳内アミロイド蓄積と相関しない。従って、細動脈硬化や慢性炎症によるBBBの障害はADのWMLsの成因に関連し、アミロイド蓄積とは独立して脳機能に影響する。

研究成果の学術的意義や社会的意義

アルツハイマー型認知症の前段階であるMCI due to ADでは、生活習慣病によってNeurovascular unit (NVU)の破綻が生じ、虚血性大脳白質変性が生じていることが推測された。さらに、この大脳白質病変は、前頭葉機能および認知機能障害の進行に影響することが明らかとなった。この研究成果により、NVUの関連分子が症状進行のバイオマーカーだけでなく、新規治療薬のターゲットとなる可能性が示された。従って、本研究はNVU protectionによる脳保護療法という新たな予防法の開発に繋がる。

研究成果

• [雑誌論文] Comparison of brain perfusion patterns in dementia with Lewy bodies patients with or without cingulate island sign. (2019)
  • 著者名/発表者名: Ishibashi M, Kimura N, Sumi K, Aso Y, Matsubara E.
  • 雑誌名: Geriatr Gerontol Int. 巻: 19 号: 3 ページ: 197-202
  • DOI: 10.1111/ggi.13586
  • 査読あり
• [雑誌論文] Modifiable Lifestyle Factors and Cognitive Function in Older People: A Cross-Sectional Observational Study (2019)
  • 著者名/発表者名: Noriyuki Kimura, Yasuhiro Aso, Kenichi Yabuuchi, Masato Ishibashi, Daiji Hori, Yuuki Sasaki, Atsuhito Nakamichi, Souhei Uesugi, Hideyasu Fujioka, Shintaro Iwao, Mika Jikumaru, Tetsuji Katayama, Kaori Sumi, Atsuko Eguchi, Satoshi Nonaka, Masakazu Kakumu, Etsuro Matsubara
  • 雑誌名: Frontier in Neurology 巻: 印刷中
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 辺縁系症状を呈した脳炎・脳症のSPECT所見の検討 (2018)
  • 著者名/発表者名: 中道 淳仁, 木村 成志, 石橋 正人, 薮内 健一, 麻生 泰弘, 松原 悦朗
  • 雑誌名: NEUROINFECTION 巻: 23 ページ: 140-145
• [雑誌論文] Effects of white matter lesions on brain perfusion in patients with mild cognitive impairment. (2018)
  • 著者名/発表者名: Ishibashi M, Kimura N, Aso Y, Matsubara E
  • 雑誌名: Clin Neurol Neurosurg. 巻: 168 ページ: 7-11
  • DOI: 10.1016/j.clineuro.2018.02.030
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] The evaluation of brain perfusion SPECT using an easy Z-score imaging system in the mild cognitive impairment subjects with brain amyloid-β deposition. (2017)
  • 著者名/発表者名: Takemaru M, Kimura N, Abe Y, Goto M, Matsubara E
  • 雑誌名: Clin Neurol Neurosurg. 巻: 160 ページ: 111-115
  • DOI: 10.1016/j.clineuro.2017.06.018
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 認知症と間違われやすい病態 Treatable dementiaを見逃さない (2017)
  • 著者名/発表者名: 木村 成志
  • 雑誌名: 日本早期認知症学会誌 巻: 10 ページ: 57-63
  • NAID: 40021505829
• [雑誌論文] アルツハイマー病の発症を予測する血漿バイオマーカーの候補(解説/特集) (2017)
  • 著者名/発表者名: 木村 成志
  • 雑誌名: Dementia Japan 巻: 31 ページ: 67-78
• [雑誌論文] Brain Perfusion in Corticobasal Syndrome with Progressive Aphasia (2016)
  • 著者名/発表者名: Abe Y, Kimura N, Goto M, Aso Y, Matsubara E
  • 雑誌名: Dement Geriatr Cogn Dis Extra 巻: 6 号: 1 ページ: 133-141
  • DOI: 10.1159/000443329
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Brain SPECT Findings at the Acute Stage of Disease in Patients with Wernicke Encephalopathy. (2016)
  • 著者名/発表者名: Abe Y, Kimura N, Goto M, Aso Y, Matsubara E.
  • 雑誌名: J Gerontol Geriatr Res 巻: 5 ページ: 357-357
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] アルツハイマー病の病態における無症候性白質病変の意義. (2016)
  • 著者名/発表者名: 木村成志，松原悦朗
  • 雑誌名: 細胞 巻: 48 ページ: 25-30
• [雑誌論文] アルツハイマー病の無症候性白質病変が脳機能および臨床症状に及ぼす影響. (2016)
  • 著者名/発表者名: 木村成志，松原悦朗
  • 雑誌名: BIO Clinica. 巻: 31 ページ: 93-99
• [雑誌論文] Relationship between white matter lesions and regional cerebral blood flow changes during longitudinal follow up in Alzheimer's disease. (2015)
  • 著者名/発表者名: Hanaoka T, Kimura N, Aso Y, Takemaru M, Kimura Y, Ishibashi M, Matsubara E.
  • 雑誌名: Geriatr Gerontol Int. 巻: - 号: 7 ページ: 836-842
  • DOI: 10.1111/ggi.12563
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [学会発表] Creutzfeldt-Jakob Disease(CJD)における脳血流SPECT所見の検討 (2019)
  • 著者名/発表者名: 中道 淳仁, 木村 成志, 松原 悦朗
  • 学会等名: 第24回日本神経感染症学会総会・学術大会
• [学会発表] 軽度認知障害における画像バイオマーカーの検討 (2018)
  • 著者名/発表者名: 木村 成志, 佐々木 雄基, 堀 大滋, 藪内 健一, 麻生 泰弘, 軸丸 美香, 石橋 正人, 松原 悦朗
  • 学会等名: 第５９回日本神経学会学術大会
• [学会発表] 若年性アルツハイマー型認知症と晩発性アルツハイマー型認知症の臨床・画像的比較検討 (2018)
  • 著者名/発表者名: 角 華織, 木村 成志, 麻生 泰弘, 石橋 正人, 軸丸 美香, 松原 悦朗
  • 学会等名: 第５９回日本神経学会学術大会
• [学会発表] 若年性アルツハイマー型認知症と晩発性アルツハイマー型認知症の臨床・画像的比較検討 (2018)
  • 著者名/発表者名: 堀 大滋, 木村 成志, 衞藤 圭純, 岩尾 槙太郎, 角 華織, 中道 淳仁, 藤岡 秀康, 佐々木 雄基, 藪内 健一, 松原 悦朗
  • 学会等名: 第５９回日本神経学会学術大会
• [学会発表] MCI due to ADにおける無症候性白質病変の臨床的意義 (2018)
  • 著者名/発表者名: 麻生 泰弘, 相川 未希, 衞藤 圭純, 岩尾 槙太郎, 角 華織, 中道 淳仁, 藤岡 秀康, 佐々木 雄基, 堀 大滋, 天野 優子, 石橋 正人, 木村 有希, 藪内 健一, 軸丸 美香, 木村 成志, 松原 悦朗
  • 学会等名: 第５９回日本神経学会学術大会
• [学会発表] Wernicke脳症急性期における99mTc-ECD脳血流SPECT所見の検討 (2018)
  • 著者名/発表者名: 麻生 泰弘, 安部 芳武, 木村 成志, 佐々木 雄基, 堀 大滋, 渡部 優子, 石橋 正人, 藪内 健一, 軸丸 美香, 松原 悦朗
  • 学会等名: 第37回日本認知症学会学術集会
• [学会発表] 脳内アミロイド蓄積と認知機能・脳萎縮・脳糖代謝の関連 (2018)
  • 著者名/発表者名: 木村 成志, 佐々木 雄基, 藪内 健一, 堀 大滋, 麻生 泰弘, 軸丸 美香, 石橋 正人, 松原 悦朗
  • 学会等名: 第37回日本認知症学会学術集会
• [学会発表] 血管危険因子と脳内アミロイド蓄積および脳糖代謝の関連 (2018)
  • 著者名/発表者名: 中道 淳仁, 木村 成志, 佐々木 雄基, 藪内 健一, 堀 大慈, 麻生 泰弘, 松原 悦朗
  • 学会等名: 第37回日本認知症学会学術集会
• [学会発表] アミロイドPET陽性の早期認知症に対する薬物療法の効果 (2018)
  • 著者名/発表者名: 木村成志 松原悦朗
  • 学会等名: 第８回日本認知症予防学会
• [学会発表] 地域在宅高齢者に対する認知症啓発および検診の重要性 (2018)
  • 著者名/発表者名: 木村 成志, 軸丸 美香, 麻生 泰弘, 堀 大滋, 松原 悦朗, 藤野 孝雄
  • 学会等名: 第115回日本内科学会総会・講演会
• [学会発表] 脳血流SPECTにより脳内アミロイド沈着の予測は可能か? (2017)
  • 著者名/発表者名: 木村 有希, 佐々木 雄基, 堀 大滋, 片山 徹二, 麻生 泰弘, 仲田 崇, 軸丸 美香, 花岡 拓哉, 木村 成志, 松原 悦朗
  • 学会等名: 第114日本内科学会総会・講演会
• [学会発表] Relationship between cytokine levels in the cerebrospinal fluid and 11C-Pittsburgh compound B retention in patients with mild cognitive impairment. (2017)
  • 著者名/発表者名: Abe Y, Kimura N, Takahashi R, Gotou M, Matsubara E.
  • 学会等名: XXIII World Congress of Neurology
• [学会発表] Relationship between white matter lesions and cognitive function in subjects with mild cognitive impairment. (2017)
  • 著者名/発表者名: Aso Y, Arita Y, Miura S, Iwao K, Sumi K, Nakamichi A, Fujioka K, Sasaki Y, Hori D, Amano Y, Ishibashi M, Yabuuchi L, Abe Y, Jikumaru M, Kimura N, Matsubara E.
  • 学会等名: XXIII World Congress of Neurology
• [学会発表] Predicting brain amyloid-β deposition using easy Z-score analysis. (2017)
  • 著者名/発表者名: Kimura N, takemaru M, Aso Y, Hanaoka T, Matsubara E.
  • 学会等名: XXIII World Congress of Neurology
• [学会発表] Characteristics of patient population of dementia with Lewy bodies (DLB) and Parkinson’s disease with dementia (PDD) exhibiting frontal hypoperfusion in bran perfusion SPECT. (2017)
  • 著者名/発表者名: Yabuuchi K, Kimura N, Miura Y, Matsubara E.
  • 学会等名: XXIII World Congress of Neurology
• [学会発表] Treatable dementia(治癒の期待できる認知症)の再考 神経内科の立場から 認知症と間違われやすい病態『treatable dementiaを見逃さない』. (2016)
  • 著者名/発表者名: 木村 成志.
  • 学会等名: 第17回日本早期認知症学会
  • 発表場所: 熊本鶴屋ホール（熊本県，熊本市）
  • 年月日: 2016-09-17
  • 招待講演
• [学会発表] AD発症リスクの解明を目指した臼杵市研究. (2016)
  • 著者名/発表者名: 木村成志.
  • 学会等名: 第57回日本神経学会総会
  • 発表場所: 神戸コンベンションセンター（兵庫県，神戸市）
  • 年月日: 2016-05-18
• [図書] よくわかる地域包括ケア (2018)
  • 著者名/発表者名: 隅田好美 藤井博志 黒田研二
  • 総ページ数: 204
  • 出版者: ミネルヴァ書房
• [図書] 認知症疾患診療ガイドライン2017 (2017)
  • 著者名/発表者名: 木村成志、松原悦朗
  • 出版者: 医学書院