研究課題/領域番号 |
16K09343
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池田 均 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80202422)
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研究協力者 |
ウランビレグ バーサンジャブ
矢冨 裕
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2018年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2017年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2016年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | スフィンゴシン1リン酸 / 肝細胞癌 / 大腸癌 / S1Pリアーゼ / トランスレーショナル・リサーチ / トランスレーショナルリサーチ / セラミド / 癌 / 脂質 / 臨床 |
研究成果の概要 |
細胞増殖や生死の決定に重要な役割を果たすとされるスフィンゴシン1リン酸(sphingosine 1-phosphate;S1P)の動態をヒト肝癌組織で検討したところ、S1P産生酵素発現は亢進していたが、従来の報告と異なり、分解酵素発現も亢進し、S1P量は増加していなかった。そこで、これまでの定説の根拠の一つとなっている大腸癌での検討を再度行った。ヒト大腸癌組織においても、S1P産生および分解酵素、細胞外への移動に働くトランスポーター、受容体S1P2発現は亢進しており、S1P量の増加は癌組織で確認されなかった。このため、細胞増殖にはS1Pの細胞内増加ではなく、代謝の亢進が重要であると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
脂質メディエーターのS1Pは、その前駆物質であるセラミドとの細胞内のバランスが細胞増殖や生死の決定に重要であることが知られている。すなわち、S1Pの細胞内レベルが亢進すると、細胞は増殖し、アポトーシスは起こりにくくなるとされる。ところが、この現象を肝癌において検討したところ、分解酵素発現は亢進し、S1Pレベルの上昇は見られなかった。さらに大腸癌における検討により、S1Pの細胞内レベルではなく、代謝の亢進が細胞増殖に重要であることを発見した。この、従来の説を覆す知見に基づき、S1P代謝の抑制による癌治療の可能性が考えられる。さらに細胞のアポトーシスが原因とされる疾患の治療への応用も期待される。
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