研究課題
基盤研究(C)
心不全を呈する拡張型心筋症75症例、コントロール20症例の心筋生検標本を用いて5-methylcytosine(メチル化DNA)の免疫染色ならびに免疫電顕を施行した。メチル化DNAの増加は心筋細胞に限定され、その局在はヘテロクロマチンに集中していた。メチル化DNAは左室リモデリングの程度と正の相関を、左室機能と負の相関を示した。心不全モデル動物としてδ-Sarcoglycan欠損心筋症マウスを用いた。10週令のマウスにDNAメチル化阻害薬 5-Azacytidine 1 mg/kg/day を投与したところ、6週後の生存率は無治療群では69%に対し治療群で100% と上昇を認めた。
心筋細胞の肥大した核は従来その機能的意味が不明であったが、エピジェネティク変化ならびに病態との関連を明らかにすることでその意味の重要性を明らかにすることができる。心不全動物モデルを用いて、エピジェネティック介入(DNAメチル化阻害薬)により心筋症の病態に変化が見られれば現実的かつ新しい心不全治療法のヒントがえられる可能性がある。
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