研究課題
基盤研究(C)
本研究では、肥満状態で低下する新規アディポサイトカイン、アディポリンの病的血管リモデリングに対する役割を検討した。アディポリン欠損マウス(APL-KO)と、野生型(WT)マウスに大腿動脈ワイヤー傷害モデルを作製したところ、傷害後の血管壁においてAPL-KOはWTと比較して新生内膜肥厚の増強と、新生内膜での平滑筋細胞増殖を認めた。また傷害血管壁におけるマクロファージ浸潤と炎症性応答もWTと比較して増加した。さらに培養細胞における検討では、アディポリンはマクロファージの炎症性応答、平滑筋細胞の増殖を、TGFβ/TGFβRII/Smad2シグナルを介して抑制することが明らかとなった。
本研究は、肥満でその発現が低下し、インスリン感受性を促進する新規のアディポサイトカインとして、我々が同定したアディポリンに着目し、自ら作製した遺伝子改変マウスを用いて、内因性アディポリンの血管病モデルにおける役割の解明を行うという非常に新規性に富み独創性が高いものである。今回の結果から、内因性のアディポリンの欠如は、肥満に伴う動脈硬化、病的血管リモデリングの増悪に繋がることが示唆され、アディポリンを標的とした研究は、心血管病の病態生理の発見や 新規の治療法の開発に発展する可能性を秘めており、社会的意義も大きい。
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Cardiovasc Res.
巻: in press 号: 1 ページ: 237-249
10.1093/cvr/cvz074