研究課題
基盤研究(C)
ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)は、炎症、酸化ストレスなどによって発現が誘導されるタンパク質である。血清HO-1は非喫煙者より喫煙健常者で低い傾向にあり、COPD患者では喫煙健常者より有意に低値であることが明らかになった。また、HO-1発現を誘導する転写因子であるNrf2 遺伝子のSNP (rs6721961)が存在すると、健常人において血清HO-1が低い傾向にあった。さらに、COPD患者では、Nrf2のSNPが高頻度で認められた。以上から、Nrf2のSNPの存在に喫煙習慣が加わることでHO-1発現の低下をきたし、肺の炎症に対する防御機構が破綻してCOPDの発症や進行に可能性が示唆された。
本研究を通じて、COPDの発症リスクやその予後予測のためのバイオマーカーとして血清ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)が有用である可能性が示唆された。今後のCOPD症例での更なる検討によって、血清HO-1は治療効果の判定や増悪の予測、重症度分類などに応用できる可能性がある。また、Nrf2遺伝子の一塩基多型(rs6721961)の検出も、喫煙によるCOPD発症のリスク診断において有用であり、特に、喫煙歴が浅く血清HO-1の低下を認めない喫煙者に対する禁煙指導の際には、禁煙の重要性について説得力のある情報になると考えられた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)
Canadian Respiratory Journal
巻: 2018 ページ: 1-7
10.1155/2018/7260178
10.1155/2018/9627420