研究課題
基盤研究(C)
結核菌感染防御における液性免疫の役割を解析すべく、結核菌抗原に対する血中IgGおよびIgAと、結核の病態を反映する臨床マーカーの相関について解析を行った。その結果、血中IgAが高い患者においては発症時の炎症マーカーが有意に低く、IgAが菌抑制的に働いている可能性が示唆された。さらに、抗原と抗体の結合力であるアビディティについて結核治療前および治療後における値の変動を比較したところ、治療前に休眠期特異抗原に対するIgAアビディティが高値を示した患者群においては血中CRP値が有意に低く、治療後に高いIgAアビディティを示した患者群では治療開始後60日目のCRP値が低値を示すことを見出した。
抗結核ワクチンとして現在用いられているものはBCGのみであるが、成人の肺結核に対してはその予防効果は疑問視されている。肺炎球菌などの経気道感染を起こす病原体については、粘膜上で誘導される分泌型IgAを主体としたワクチン開発が盛んに行われていることから、ワクチンによる気道粘膜における結核菌抗原特異的IgAの誘導は感染防御において高い効果を発揮すると考えられる。本研究では、活動期および休眠期の結核菌抗原に対する治療前および治療後の患者血清中特異抗体を測定し、臨床マーカーとの比較を行うことにより、感染防御および炎症抑制に働く液性粘液を誘導する抗原の同定につながることが期待される。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Journal of Immunology Research
巻: 2018 ページ: 1-11
10.1155/2018/4928757
Sci Rep
巻: 8 号: 1 ページ: 6736-6736
10.1038/s41598-018-24233-1
巻: -