研究課題
基盤研究(C)
レビー小体,グリア細胞内嗜銀性封入体 (GCI)はそれぞれパーキンソン病,多系統萎縮症患者の脳内に見られる特徴的な凝集体であり,α-シヌクレインを主成分とする.最近,この凝集体がプリオンのように脳内を伝播すると報告されたが,これらの研究では人工的なアミロイド線維が用いられており,同様の現象が体内で起こっているという証拠はない.そこで,我々はこれまで困難とされた剖検脳内の凝集体に対する微細構造解析にSPring-8の放射光を用いることで挑んだ.その結果,レビー小体がアミロイド線維を含んでいることを世界で初めて見出し,また,レビー小体とGCIにおける蛋白質レベルでの構造の違いが明らかとなった.
今回の研究成果は,これまで行われてきた人工的なアミロイド線維を用いた実験の正当性を支持するものであり,すでに進められている臨床研究を後押しする重要な成果である.また,本研究成果はパーキンソン病がアミロイドーシスの一種であるという新しい概念を提唱するものであり,革新的治療開発の手がかりとなり得るものである.
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