研究課題
基盤研究(C)
新しい血栓性素因・アンチトロンビン・レシスタンス(ATR)を示すプロトロンビン異常症(R596L)を報告、さらにATR検出検査法を確立して異なる変異(R596Q)も同定した。またNa+結合領域アミノ酸での単一塩基置換変異体の凝固活性特性を調べた結果、K599RおよびE592Qでは既報変異と同等のATR残存凝固活性を示した。さらにR593L (ヒトR596Lに相当)ノックインマウスは正常出生してATRを示したものの、プロトロンビンの抗原量70%、凝固一段法活性35%と低値で、ATR残存凝固活性が低値で、ヒトR596L変異と異なりR593L変異ホモマウスでは血栓リスクの可能性は低いと思われた。
静脈血栓塞栓症の遺伝子異常判明例の約2/3は原因特定に至っていない中、申請者らが世界で初めて報告した新たな血栓性素因概念 アンチトロンビン・レジスタンス(ATR)の遺伝子異常を検索・解析は、従来にない独創的な発想の研究である。本研究は、これまで原因特定に至ってない症例でのATR血栓性素因の同定とその詳細な病態解析、遺伝子組換体による新たなATR遺伝子異常の同定解析、ATRマウスの血栓症発症病態解析を行うもので、加齢とともに増加する深部静脈血栓・肺塞栓症の新しい診断法や予防法、治療法の開発に極めて有用な情報を提供することが予想され、超高齢化社会を迎えつつある日本において大きな社会的意義をもつ。
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