転写ネットワーク解析によるRunx1の造血制御メカニズムの解明

• 研究課題/領域番号: 16K09857
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 基金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 血液内科学
• 研究機関: 京都府立医科大学
• 研究代表者: 忠垣 憲次郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30416268)
• 研究分担者: 奥田 司 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30291587)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2018年度)
• 配分額: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円); 2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円); 2017年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円); 2016年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
• キーワード: 造血幹細胞 / 転写因子 / RUNX1 / 標的遺伝子 / Runx1

研究成果の概要

RUNX1は造血幹細胞の発生制御に係る転写因子であるがその分子機構は十分には解明されていない。当研究では標的遺伝子の探索による当命題解明への寄与を試みた。RUNX1欠損ES細胞の解析から３種の新規標的遺伝子候補を選び出したところ、いずれもRUNX1/CBFβ存在下でそのプロモータが活性化された。このうち２種で、RUNX1の結合をクロマチン免疫沈降法によって確認した。さらに、RUNX1の強制発現系とsiRNAによるノックダウン系の両者を用いて、これら２種の遺伝子発現が確かにRUNX1依存性であることを細胞レベルで確認した。以上から、この２種はRUNX1の新規標的遺伝子であると考えられた。

研究成果の学術的意義や社会的意義

RUNX1は造血幹細胞の発生制御のみならず、血小板産生やＴ細胞分化においても中心となる働きを担う転写因子である。本研究によって、これまで知られていなかった２つの標的遺伝子を新規に特定することに成功した。これはRUNX1作用の分子メカニズムの理解を一歩進めるものと考えている。また、これらの分子はいずれも造血・免疫系に関与することが知られていることから、今後、これらの遺伝子群の生物作用の詳細や、RUNX1との機能協調の詳細解析へと研究が展開するものと期待される。こうした研究によって、造血の分子メカニズムの詳細解明やRUNX1機能異常が関わるヒト疾患の新規治療法の開発に貢献することが期待される。

研究成果

• [雑誌論文] The orphan GPR50 receptor promotes constitutive TGFβ receptor signaling and protects against cancer development. (2018)
  • 著者名/発表者名: Wojciech S, Ahmad R, Belaid-Choucair Z, Journe AS, Gallet S, Dam J, Daulat A, Ndiaye-Lobry D, Lahuna O, Karamitri A, Guillaume JL, Do Cruzeiro M, Guillonneau F, Saade A, Clement N, Courivaud T, Kaabi N, Tadagaki K, Delagrange P, Prevot V, Hermine O, Prunier C, Jockers R.
  • 雑誌名: Nature Communications 巻: 9 (1) 号: 1 ページ: 1216-1216
  • DOI: 10.1038/s41467-018-03609-x
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Importance of the second extracellular loop for melatonin MT1 receptor function and absence of melatonin binding in GPR50. (2017)
  • 著者名/発表者名: Clement N, Renault N, Guillaume JL, Cecon E, Journe AS, Laurent X, Tadagaki K, Coge F, Gohier A, Delagrange P, Chavatte P, Jockers R.
  • 雑誌名: British Journal of Pharmacology 巻: - 号: 16 ページ: 3281-3297
  • DOI: 10.1111/bph.14029
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Systematic protein-protein interaction mapping for clinically relevant human GPCRs. (2017)
  • 著者名/発表者名: Sokolina K, Kittanakom S, Snider J, Kotlyar M, Maurice P, Gandia J, Benleulmi-Chaachoua A, Tadagaki K, Oishi A, Wong V, Malty RH, Deineko V, Aoki H, Amin S, Yao Z, Morato X, Otasek D, Kobayashi H, Menendez J, Auerbach D, Angers S, Przulj N, Bouvier M, Babu M, Ciruela F, Jockers R, Jurisica I, Stagljar I.
  • 雑誌名: Molecular Systems Biology 巻: 13(3) 号: 3
  • DOI: 10.15252/msb.20167430
  • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [学会発表] SWI/SNFクロマチンリモデリング因子と造血系転写因子の機能調節 (2019)
  • 著者名/発表者名: 桒原康道、近藤則子、忠垣憲次郎、山崎健太、吉田達士、奥田司
  • 学会等名: 第２３回造血器腫瘍研究会
• [学会発表] A novel transcription factor RUNX1. (2018)
  • 著者名/発表者名: Tatsushi Yoshida, Kenta Yamasaki, Kenjiro Tadagaki, Yasumichi Kuwahara, Noriko Kondo, Akifumi Matsumoto, Toshiyuki Sakai, Tsukasa Okuda.
  • 学会等名: 第９１回日本生化学会
• [学会発表] Functional interaction between SWI/SNF complex and a hematopoietic transcription factor in malignant rhabdoid tumor. (2018)
  • 著者名/発表者名: Yasumichi Kuwahara, Tatsushi Yoshida, Kenjiro Tadagaki, Tsukasa Okuda.
  • 学会等名: 第７７回日本癌学会
• [学会発表] Analysis of a novel candidate target gene of the hematopoietic transcription factor RUNX1 (AML1). (2018)
  • 著者名/発表者名: Kenjiro Tadagaki, Kenta Yamasaki, Noriko Kondo, Yasumichi Kuwahara, Tatsushi Yoshida, Tsukasa Okuda.
  • 学会等名: 第８０回日本血液学会
• [学会発表] 急性骨髄性白血病におけるRUNX1新規標的遺伝子の同定 (2018)
  • 著者名/発表者名: 松本晃典、吉田達士、山崎健太、忠垣憲次郎、桒原康道、近藤則子、奥田司
  • 学会等名: 平成３０年度第８回４大学連携研究フォーラム
• [学会発表] 造血関連転写因子RUNX1(AML1)の新規転写標的候補遺伝子の探索 (2018)
  • 著者名/発表者名: 忠垣憲次郎、山崎健太、近藤則子、桒原康通、吉田達士、奥田司
  • 学会等名: 第４１回日本分子生物学会
• [学会発表] クロマチンリモデリング因子SNF5と細胞の腫瘍化 (2018)
  • 著者名/発表者名: 桒原康道、近藤則子、忠垣憲次郎、山崎健太、吉田達士、奥田司
  • 学会等名: 第２２回造血器腫瘍研究会
• [学会発表] RUNX1によるTRAIL遺伝子の転写制御機構 (2017)
  • 著者名/発表者名: 吉田達士、山崎健太、忠垣憲次郎、桒原康道、酒井敏行、奥田司
  • 学会等名: 第21回造血器腫瘍研究会
  • 発表場所: 熊本大学（熊本市）
  • 年月日: 2017-02-17
• [学会発表] RUNX1/AML1転写因子の新規候補標的遺伝子の解析 (2017)
  • 著者名/発表者名: 忠垣憲次郎、山崎健太、桒原康道、吉田達士、奥田司
  • 学会等名: 第６４回日本生化学会近畿支部例会
• [学会発表] An array-based approach for novel RUNX1(AML1)-target genes. (2017)
  • 著者名/発表者名: Kenjiro Tadagaki, Yasumichi Kuwahara, Tatsushi Yoshida, Tsukasa Okuda.
  • 学会等名: 第７６回日本癌学会
• [学会発表] Candidate target genes of hematopoietic transcription factor RUNX1 (AML1). (2017)
  • 著者名/発表者名: Kenjiro Tadagaki, Kenta Yamasaki, Yasumichi Kuwahara, Tatsushi Yoshida, Tsukasa Okuda.
  • 学会等名: 第７９回日本血液学会
• [学会発表] 白血病由来RUNX1遺伝子変異体における機能的異常の解析 (2017)
  • 著者名/発表者名: 吉田達士、山崎健太、忠垣憲次郎、桒原康道、近藤則子、奥田司
  • 学会等名: 平成２９年度第７回４大学連携研究フォーラム
• [学会発表] Mechanism of recruitment of SWI/SNF complex via interaction between SNF5 and transcription factor. (2017)
  • 著者名/発表者名: Yasumichi Kuwahara, Kenta Yamasaki, Kenjiro Tadagaki, Tatsushi Yoshida, Tsukasa Okuda.
  • 学会等名: 2017年度生命科学系学会合同年次大会
• [学会発表] 白血病関連転写因子の制御法の開発と白血病治療に向けた応用 (2016)
  • 著者名/発表者名: 吉田達士、山崎健太、忠垣憲次郎、桒原康道、奥田司
  • 学会等名: 平成28年度第6回4大学連携研究フォーラム
  • 発表場所: 京都薬科大学（京都市）
  • 年月日: 2016-12-07
• [学会発表] RUNX1/AML1はTRAILの転写制御に関与する (2016)
  • 著者名/発表者名: 吉田達士、山崎健太、忠垣憲次郎、桒原康通、酒井敏行、奥田司
  • 学会等名: 第39回日本分子生物学会
  • 発表場所: パシフィコ横浜（横浜市）
  • 年月日: 2016-12-02
• [学会発表] A candidate target gene of RUNX1/AML1 transcription factor. (2016)
  • 著者名/発表者名: Tatsushi Yoshida, Kenjiro Tadagaki, Kenta Yamasaki, Yasumichi Kuwahara, Toshiyuki Sakai, Tsukasa Okuda.
  • 学会等名: 第78回日本血液学会
  • 発表場所: パシフィコ横浜（横浜市）
  • 年月日: 2016-10-14
• [学会発表] A natural inhibitor of Runt-related Transcription Factor 1 / Acute Myeloid Leukemia 1 (RUNX1/AML1). (2016)
  • 著者名/発表者名: Tatsushi Yoshida, Kenta Yamasaki, Kenjiro Tadagaki, Yasumichi Kuwahara, Tsukasa Okuda.
  • 学会等名: 第89回日本生化学会
  • 発表場所: 東北大学（仙台市）
  • 年月日: 2016-09-26