配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2017年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2016年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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研究実績の概要 |
鉄代謝制御因子hepcidinの転写は主にIL-6/STAT3とBMP/SMADの2大経路によって制御されることが知られているが,転写機序の詳細は不明な点が多い。また、他の炎症性サイトカインがどのような転写機序を介してhepcidinの発現に関与するかについても全く解明されていない。1.我々は既に肝細胞株を用いたreal-time RT-PCR方法で、IL-6或はBMPによるhepcidin mRNAの発現が、TNFαの刺激により抑制されることを示した。今回は同様の方法で解析し、IL-22がhepcidinを誘導しその発現も、TNFαの刺激により抑制されたことを示した。2.IL-6によるhepcidin mRNAの発現はanti-IL-6R抗体によって完全に抑制される一方、MAPK阻害剤( PD98095,U0126等)では、逆に増強されることを示した。MAPK経路のどの因子がhepcidinの抑制に関与するかを明確にするため、hepcidinプロモータールシフエラーベクタ-(pGL3-hepc624)を用いて、STAT3強制発現の系において、C/EBPβ plasmidの強制共発現によって、ルシフェラーゼ活性が50%抑制された。一方、 C/EBPα及びNFkBでは抑制は示されなかった。すなわち、IL-6刺激後gp130下流に位置するMAPK/C/EBPβシグナル伝達は負に,Jak2/STAT3シグナル伝達は正にhepcidin発現を制御することを明らかにした。3. TNFαシグナルも MAPK/C/EBPβを介して負に制御すると考えられた。今回は、肝細胞内在性hepcidin mRNAの発現はTNFα刺激によって抑制され同時に、C/EBPβ mRNA発現の増加を示し、 C/EBPαmRNAの減少を示した。従って、C/EBPαとC/EBPβはそれぞれ相反機序でTNFαによるhepcidinの制御に関与することを示唆した。4.EPOとGDF15はhepcidinの抑制因子としても知られている,ELISA実験ではリウマチ患者血中EPOの上昇が明らかになったが、GDF15の上昇は認められなかった。以上,本年度結果により炎症性貧血の新たな機構解明を示すと共に新たな治療法の開発に役に立ていることができると考えられる。
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