研究課題
基盤研究(C)
我々は、けいれん重積後にてんかんを生じる動物モデルに対して、けいれん重積後早期に骨髄幹細胞 (mesenchymal stem cell: MSC)を経静脈的に移植することにより、けいれん数の減少、認知機能低下を抑制することを明らかにした。海馬の細胞数および苔状線維発芽の組織学的解析では、けいれん重積後の海馬細胞数減少およびGABAニューロン数減少は、MSC投与により抑制されていた。またマンガン造影MRIおよびTimm染色のいずれにおいても、MSC投与により異常苔状線維発芽の減少を認めた。MSCは、けいれん重積後のてんかん発症を予防および認知機能保持に有効であると考えられた。
従来の抗てんかん薬は、けいれん発作は抑えるが、形成された異常神経回路(てんかん回路)を正常化する治療法ではないため、治療の長期化や認知機能への影響が問題となっており、より根本的で有効な治療法が望まれている。本研究において、けいれん重積後の急性期に骨髄間葉系幹細胞を移植により、てんかん発症予防効果および認知機能低下予防効果を示した。さらにてんかん回路を正常化するメカニズムとして、骨髄間葉系幹細胞による海馬細胞消失の軽減、異常神経回路形成の抑制が起こることを明らかにし、新たな創薬ターゲットにもつながる知見が得られた。
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Epilepsy Reserch
巻: 141 ページ: 56-63
10.1016/j.eplepsyres.2018.02.008