研究課題
基盤研究(C)
ガンマグロブリン静注療法(IVIG)不応川崎病(KD)では冠動脈病変を高率に合併する。本研究では、KD患者IVIG不応例2例、反応例2例から体細胞を採取し、初期化6因子を導入しiPS細胞を樹立し血管内皮細胞(ECs)への分化誘導を行った。IVIG不応および反応KD患者から誘導したiPS細胞由来ECs(iPSC-ECs)の遺伝子発現プロファイルを、RNA-seq解析を用いて比較検討を行ったところ、IVIG 不応KD患者由来のiPSC-ECsにおいて、CXCL12の発現が著明に増加していた。KDにおけるIVIG不応や重症度を解明する上でCXCL12がkey moleculeであることが示唆された。
川崎病はいまだ原因不明であり、ガンマグロブリン静注療法(IVIG)不応症例の場合には冠動脈病変を高率に合併する。そのため、IVIG不応のメカニズムを解明することは、診療上極めて重要であり、社会的意義は大変高いと考えられる。本研究結果からは、川崎病におけるIVIG不応や重症度を解明する上でCXCL12がkey moleculeであることが示唆された。今後は、今回発見したCXCL12について、in vitroとin vivoの実験系、臨床検体を用いることにより、IVIG不応川崎病における治療標的分子としての検証を行っていく予定である。
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