研究課題
基盤研究(C)
適応放射線治療の介入時期を明らかにするため、治療室内CT(CBCT)を用いた前向き臨床試験を行った。5週間の間に耳下腺の体積減少が見られた。標的体積も体積減少をみとめたが、線量低下はなかった。脊髄・脳幹の最大線量は2週目から約1割程度で5%以上の増加がみられ、再治療計画が必要と考えられた。人工知能を利用したknowledge-based planning (KBP)は、再治療計画の迅速化に有効である。前立腺癌および頭頸部癌に対して、KBPの治療計画と実際に照射された治療計画との比較を行った。いずれの検討でも、KBPで作成したプランは、実臨床で用いられた治療計画と同等あるいは優れていた。
高精度放射線治療の一つである強度変調放射線治療では、標的体積の形状に沿った線量分布を作成できる。しかしながら、治療期間中の腫瘍縮小や体重減少で生じる腫瘍やリスク臓器の輪郭変化に対しては、再治療計画が必要となる。これが適応放射線治療(ART)である。治療室内で得られるCT画像を用いた本研究によって、2週目以降10%を越える症例で脊髄や耳下腺などに有意な線量増加を来たし、再治療計画が必要となることが明らかになった。また人工知能を利用したknowledge-based planning (KBP)が臨床的に使用可能であることを示し、再治療計画を正確に早く行えるARTの実用化への道を開いた。
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