研究課題
基盤研究(C)
肝切除を施行した35例を対象とし,術前・術後に血液をサンプリングし, UL-VWFマルチマー解析を行った. UL-VWFマルチマー indexは術前値0.2%(0.0-7.8)から術後7日目に4.2%(0.1-16.3)と有意に増加した(p<0.001).多変量解析では,Pringle時間が術後UL-VWFM出現に関する独立した規定因子であった(p=0.043).さらにUL-VWFM indexは,Pringle時間と正の相関を示した(r=0.444,p=0.017).以上の結果から,病的血栓の一因となるVWFマルチマーとPringle法による虚血再灌流障害との関連が示唆された
これまでADAMTS13, vWF, VWFマルチマーと肝切除及びPringe法との関連に着目した検討は,国内外において報告がない.本研究により,UL-VWFマルチマーと術中Pringle法による虚血再灌流障害の関連が明らかにされたことで,今後,肝切除後肝不全に対する新たな治療戦略となり得る可能性が示唆される.さらに研究がすすめば,効率的な肝切除後肝不全治療戦略となる可能性がある.ADAMTS13関連因子は病的血栓との関連から心筋梗塞や脳梗塞の治療薬としての可能性も示されており,肝臓のみならず他臓器疾患への波及効果が期待される.
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