研究課題
基盤研究(C)
主要血液型抗原RhDのWeakD変異のうちエクソン7のsynonymous変異 c.960G>Aによるスプライシング異常が配列特異的で、エクソニックスプライシングエンハンサー(ESE)結合分子であるSRSF3の結合に依存することを見出した。ESE結合分子のうち、SRSF1, SRSF11, TRA2Bに軟骨分化誘導作用があることを示した。内在性遺伝子の発現が少ないp63の選択的スプライシングのアポトーシスに関する役割を、スプライシングアッセイ用プラスミドを安定導入した培養細胞を利用して検証し、アポトーシス誘導下でγアイソフォームへの特異的なスイッチングが生じることを確認した。
RhD遺伝子がコードするD抗原は溶血性副作用や新生児溶血性疾患の原因となる主要血液型抗原のひとつであり、その抗原性の変化に関わる選択的スプライシングの機序を初めて分子レベルで明らかにした。D抗原は同時に赤血球の分化マーカーでもあり、本研究の知見は血球分化のメカニズム解明の上でも重要と考えられる。ESE結合分子であるSRSFファミリー分子が選択的スプライシングを介して軟骨分化にも関与している可能性を示した。p63の選択的スプライシングの制御がアポトーシス誘導に重要である可能性を示唆するデータを得た。
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