研究成果の概要 |
着床前遺伝子診断の実際では, 稀少なDNA量の遺伝子増幅の際に, 例えば対立アリルの一方のみが増幅されないアレルドロップアウト現象の出現が知られ, 誤診断の原因となる. 現在までに利用可能な各種全ゲノム増幅技術 (WGA) を比較した. その結果, WGAの違いによって, 検出されやすい遺伝子変異が異なる事象が観察された. また, WGA毎に増幅されやすい遺伝子領域が異なり, それは, 同一の遺伝子領域においてさえも, 増幅のバイアスは観察された. いずれのWGAを採用しても, あらゆる遺伝子においてADOは観察される結果を得た. 現時点では, MDA法が最も汎用性が高い.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
単一遺伝子病のための着床前遺伝子診断は, 今尚国内における実施数は多くないが, 次世代シーケンサをはじめとする遺伝子工学技術やタンデムマススクリニーング事業の導入により, 今後今まで原因不明とされた稀少遺伝子疾患や代謝異常症のための着床前診断の要望が増えてくると思われる. 全ゲノム増幅法の導入により, より簡便にシングルセルPCRを実施できる効果が期待される. 本研究では, 家系毎に異なる遺伝子異常の変異に応じた全ゲノム増幅技術の選択の最適化のために, 有用な情報を提供するものと考えられる.
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