研究課題
基盤研究(C)
抗癌剤(5-フルオロウラシル)を投与した口内炎モデルラットにおいて、抗癌剤による免疫機能の低下により口内炎部位の細菌量が増大し、よりひどい症状を示していた。細菌からの毒素が痛みに関する神経を刺激し、侵害受容TRPチャネル分子を活性化させることで痛みを引き起こしていることが明らかとなった。傷害による口内炎や別の種類の抗癌剤(シスプラチン)投与後の口内炎では、異なるメカニズムにて疼痛が引き起こされていた。既に臨床で鎮痛効果が確認された漢方薬(半夏瀉心湯)に関して、成分レベルでの作用機序を明らかにし、ショウガオールなどの成分が鎮痛作用に関与することを明らかにした
癌治療患者における激しい疼痛を伴う口内炎の発症は、臨床上大きな問題となっていたものの、その発症メカニズムは不明であった。本研究成果にて、抗癌剤による全身的な影響が口内炎の症状を増悪させ、特定の侵害受容TRPチャネルを介して痛みを生じていることが明らかとなった。口内炎の発症原因や抗癌剤の種類によって病態やTRPチャネルの種類が異なっていたため、患者によってより効果的な治療法を選択する必要があることが示唆される。また、臨床で使用される漢方薬の西洋科学的エビデンスを提供できたと考えている。
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