研究課題/領域番号 |
16K12818
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
地理学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
朝日 克彦 信州大学, 学術研究院理学系, 助教 (70602150)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2016年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2017年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2016年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 中部山岳 / 越年性雪渓 / 環境動態 / 気候変動 / 雪渓 |
研究実績の概要 |
2016年10月6~10日にセスナ機から北アルプス全域および白山山域(以下,中部山岳)について,斜め撮り写真を撮影し,この判読を行って越年性雪渓目録を作成した.この結果,2016年は寡雪であり,越年性雪渓の残存は過去数年に較べ,数,面積共に非常に限られていた.中部山岳全体で135箇所,総面積は1.14km2であった.2013年が601箇所,総面積3.61km2であったことと較べても小ささが際立つ.北アルプスの雪渓の分布は,その大半が冬季卓越風向の風下にあたる東向き斜面に集中した.また雪渓の分布高度を緯度方向にプロットすると,顕著な北下がりを示す.これは冬季の積雪量の多いエリアとよく合致する.したがって,雪渓の地理的分布特性から,晩秋季の雪渓分布であっても残存の要因は冬季降雪量にあると推測される. 中部山岳の中でとりわけ越年性雪渓の分布が卓越する剱岳山域について,過去の雪渓分布も復元した.具体的には1963,1969,1977,1985,1994,2009年撮影,国土地理院および林野庁空中写真を判読した.判読に供した空中写真はいずれも10月撮影のものである.このほか上述の手法で斜め撮り空中写真判読を2013,2014,2015年に行い,この間の動態を明らかにした.この結果,剱岳山域における越年性雪渓は過去53年の中でも2016年は最も寡雪で,36箇所,総面積は0.40km2にとどまった.剱岳山域の動態と,室堂における4月30日の積雪深が多い年は越年性雪渓面積が大きくなる傾向が読み取れる.気温の高い夏季の降雨は潜熱で雪渓を効果的に消耗させうると推測されるが,室堂における7・8月の降雨量と雪渓面積の間には顕著な傾向は見出せなかった.このことから越年性雪渓の残存に最も大きな要因は冬季降雪量であると推測した.
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