研究課題/領域番号 |
16K13355
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
経済学説・経済思想
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
平方 裕久 九州産業大学, 経済学部, 講師 (90553470)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2018年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2017年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2016年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 福祉国家 / イギリス / 公共領域 / 管理と競争 / 福祉国家の再編 / ネオリベラリズム / ニコラス・バー / ジュリアン・ルグラン / 準市場 / 公共 / 医療 / 年金 / N・バー / サッチャリズム / キャメロン政権 / 「大きな社会」構想 / 公共サービス / 競争と管理 / 経済思想史 / 経済政策 |
研究実績の概要 |
本年度は、福祉国家の再編が戦後の経済社会体制の中でどのように評価できるか検討し、特にイギリスにおける市場原理・競争システムの公共サービス・公共部門への導入がどのように精緻な理論として形成・受容されていったのかについて引き続き議論した。 研究を通して明らかにされつつあることは、1980年代の経済事情とそれに伴う福祉反動・福祉ショーヴィニズムの高まりが今日のグローバリズム・福祉国家の再編となったが、2010年代の「大きな社会」構想に見られるように、公共部門や民間部門という公私の二分法ではなく、その中間組織ともいうべき非営利組織を利用し、また持続可能性を高めるために一定の事業として運営することが方法として確立されてきたことである。しかしながら、政府・公共部門の専門家への信頼に基づき提供されてきた従来からの公共サービスとは異なり、ユニバーサルに提供されるべきそれとは異なる地域やコミュニティ、あるいは国民のニーズに関心が寄せられるようになってきたことを反映したものでもあった。市民や社会のコンセンサスを得られているとは言い難い面もあり、特に緊縮財政に直面したときに福祉の切り捨てと批判を招くことになっている。 このような政策の変化は、福祉国家をめぐる従来からの議論、すなわち市場や競争の持つ効率性への議論を超えて、いかにして多様化し、個別化するニーズを、限られた財源の中で実現するかという関心からの理論の形成にも支えられていたことは見逃すことはできない。すなわち、1990年代に現実の変化を受けて形成された議論においては、市場や競争を前提とし、いかにして制度を機能させるかということが議論の中心になっている。
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