研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究は,欧米多国籍企業の戦略・組織と日欧米の政策を分析することにより以下の点を解明した。1) 地政学リスクや国際二重課税の回避を目的に多国籍企業によって持株会社や信託・議決権委託等のスキームが多用されたこと,2)1920年代・30年代の地政学リスク回避のための国際公共財は,後には租税回避のための国際的な社会基盤となったこと,3)これらが中南米やアフリカなどにも及び世界的な規模を有したこと,4) リスク回避戦略→企業の組織構造の因果関係とともにこれとは反対の因果関係もみられたこと,5) 国際二重課税に対する各国の政策は各国での多国籍企業の位置と事業を反映して国際的に多様であったこと。
従来の経営史学や多国籍企業論では,組織の戦略・構造の規定要因とされたのは主に経済的・市場的要素であり,政治的・地政学的要素は等閑視されてきた。経営史家と法学者による学際的研究組織で行われた本研究では,戦争・占領・接収・封鎖・迫害・経済制裁・ボイコット等の非経済的事象や,租税政策や会社法等の主権国家による制度・政策,主権国家間の競合関係の重要性を解明した。 各国の租税主権を脅かす租税回避地が地政学リスク回避目的の国際公共財として出現したこと,地政学リスクへの対応が持株会社の採用を促したという事実は,グローバル化の歴史解釈や経営史での戦略=組織構造に関する見方に修正を迫る。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 8件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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