研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究は、読み書き発達の背景にある認知的要因として形態素意識に着目し、小学生の読み書き能力との関連を検討することを目的とした。通常学級に在籍する小学4、6年生計108名を対象とし、読み書き能力と読み書きに関連する認知的要因を測定し、両者の関連性を分析した結果、(1)読みの流暢性では4年生のみで形態素意識の有意な関与がみられ、(2)漢字の読み書きでは、4年生より6年生で形態素意識との関連がより大きかったことから、形態素意識は学年が上がるに従い漢字の読み書きを規定する要因として役割が増す可能性が示唆され、今後読み書きに困難さのある子どもへの指導方法開発に有用な知見となり得ることが示された。
読み書きの困難さや障害は、学業達成や日常生活において著しい不利益をもたらすことから、これまでに、音を操作する力や記憶力など、読み書き発達の基礎となる要因に着目した指導方法が研究されてきた。この研究では、形態素(言葉の、意味をもつ最小単位で、例えば「母たち」は、「母」と「たち」の2つの形態素から成る)を操作する力も読み書き能力と深い関係があることが明らかとなり、形態素を意識させる指導法の開発などにつながる重要な知見が得られたといえる。
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