研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究では、真空中において光格子中に少数個のナノ粒子を捕捉し、その運動を精密に観測する実験装置を製作した。様々な材質のナノ粒子を大気圧で捕捉できることを示すと共に、従来研究で扱われてきたシリカ以外のいくつかの材質についても真空へと移行できることを見出した。また、真空中での振動周波数が材質によって異なることを示し、ナノ粒子の非破壊組成分析の原理を実証した。想定外の成果として、2個のナノ粒子が同一光格子内に捕捉されると、大気圧下であっても互いの周りを軌道運動する現象を発見し、この現象が既知の放射圧に基づく発振現象とは大きく異なる性質を持つことを明らかにした。
本研究により、真空中におけるナノ粒子の運動の観測を通じてその材質を非破壊に推定する、という非破壊組成分析の原理が実証できたため、環境中を漂うナノ粒子に対する新たな角度からの分析が可能となると期待される。また、2個のナノ粒子による軌道運動の周波数は粒子の質量に非常に敏感であることから、粒子に気体分子が吸着される過程についての研究を進めることで、将来的には新しいタイプの気体検出センサーとしての応用が期待される。
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